
派遣のストレスチェック実施義務は派遣元|50人の数え方と2028年義務化【2026年版】
派遣スタッフのストレスチェックを実施する義務を負うのは、原則として派遣元(派遣会社)です。一方で、職場環境の改善につながる集団分析は、実際に就業する場所を管理する派遣先が担うのが望ましいとされています。個人へのストレスチェックと面接指導は雇用主である派遣元、集団単位の分析は派遣先、という役割分担が制度の基本です。
派遣会社の管理担当者からは「自社に実施義務があるのか」「常時50人はどう数えるのか」「50人未満なら不要なのか」といった疑問が多く寄せられます。特に2025年に公布された改正法で50人未満の事業場にも義務が広がる予定があり、これまで対象外だった小規模な派遣会社も準備が必要になります。
本記事では、労働安全衛生法と労働者派遣法の条文をもとに、ストレスチェックの実施主体・常時50人の数え方・2028年からの義務化拡大・派遣先との連携を、派遣元の実務目線で早見表を交えて整理します。
結論:ストレスチェックの実施は派遣元、職場環境の改善は派遣先
派遣スタッフのストレスチェックは、個人へのチェックと面接指導を派遣元が実施し、集団分析による職場環境の改善を派遣先が担う、という役割分担で運用します。ストレスチェック制度は、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐために年1回の検査を求める仕組みで、雇用主が実施義務を負います。派遣スタッフの雇用主は派遣元のため、実施主体も派遣元になります(労働者派遣法第45条)。
| 項目 | 担当 | 根拠・補足 |
|---|---|---|
| ストレスチェックの実施 | 派遣元 | 雇用主として実施(安衛法第66条の10) |
| 面接指導・医師の意見聴取 | 派遣元 | 高ストレス者の申出に基づき実施 |
| 就業上の措置の決定 | 派遣元 | 派遣先の協力を得て決定 |
| 集団ごとの集計・分析(集団分析) | 派遣先 | 職場単位のため派遣先が行うのが望ましい |
| 職場環境の情報提供・改善 | 派遣先 | 就業場所を管理する立場として協力 |
出典:労働安全衛生法第66条の10、労働者派遣法第45条、厚生労働省「派遣労働者に対するストレスチェック等の実施に関する考え方」を基に自社整理
派遣元は自社を一つの事業場として実施義務を判定し、派遣先は自社の職場単位で集団分析を担う、と押さえると混乱しません。安全衛生全体の責任分担は「派遣の安全衛生管理と労災対応|派遣元・派遣先の責任分担【2026年版】」もあわせてご覧ください。

派遣元が負うストレスチェックの実施義務
ストレスチェックの実施義務は、派遣スタッフを雇用する派遣元が負います。ここでは制度の根拠と、派遣元が担う具体的な業務を確認します。
ストレスチェック制度とは(安衛法66条の10)
ストレスチェック制度とは、労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査を、事業者が常時使用する労働者に対して年1回実施する仕組みです(労働安全衛生法第66条の10)。質問票により労働者自身のストレスへの気づきを促し、高ストレスと判定された人を医師の面接指導につなげることで、メンタルヘルス不調の未然防止を図ることを目的としています。
検査項目は「仕事のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」の3領域から構成するのが基本です。実施者は医師や保健師などに限られ、検査結果は本人の同意なく事業者へ提供できないなど、プライバシー保護のルールが定められています。
実施・面接指導・医師の意見聴取は派遣元の役割
派遣スタッフについては、雇用主である派遣元が実施主体となります(労働者派遣法第45条)。派遣元は、ストレスチェックの実施、結果の本人通知、高ストレス者からの申出に応じた医師による面接指導、面接指導後の医師からの意見聴取までを担います。
面接指導の結果、医師の意見を踏まえて就業場所の変更や労働時間の短縮などの就業上の措置が必要になった場合、就業条件を実際に管理するのは派遣先です。そのため派遣元は、派遣先の協力を得ながら措置を講じます。健康診断など他の健康管理との実施主体の違いは「派遣スタッフの健康診断(一般健診・特殊健診)の実施義務と記録【2026年版】」で整理しています。

「常時50人」の数え方と2028年からの義務化拡大
ストレスチェックの実施義務は、事業場ごとに常時使用する労働者が50人以上かどうかで判定します。派遣元では、この「50人」の数え方が実務上のポイントになります。
50人のカウントに派遣中スタッフは含めるのか
派遣元の実施義務は、派遣元の事業場で常時使用する労働者が50人以上かどうかで決まります。このとき、内勤の社員だけでなく、雇用しているすべての派遣スタッフを含めて数えます。派遣スタッフは派遣元と雇用契約を結んでいるため、どこの派遣先で働いていても派遣元の労働者としてカウントされるからです。
そのため、内勤が数名でも派遣スタッフを多数雇用している派遣会社は、実際にはすでに50人以上に達しているケースが少なくありません。「常時使用する労働者」には、期間の定めなく雇用される人に加え、契約更新で継続雇用が見込まれ、週の所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上である人などが含まれます。自社の対象人数を正しく数えないまま未実施だと、義務違反になりかねません。
2025年改正で50人未満も2028年4月から義務化
現在、常時50人未満の事業場は当分の間の努力義務とされています。しかし2025年に公布された改正労働安全衛生法により、50人未満の事業場にも実施が義務化されることが決まりました。施行日は2028年4月1日とされ、義務化後おおむね1年以内に最初のストレスチェックを実施することが求められる見込みです。
これまで対象外だった小規模な派遣会社も、2028年に向けて実施体制の準備が必要になります。厚生労働省は50人未満の事業場向けの実施マニュアルを公表しており、外部委託の検討を含め、早めに準備を進めておくと安心です。

派遣先の役割:集団分析と職場環境の改善
ストレスチェックの実施が派遣元の義務である一方、集団分析と職場環境の改善は派遣先が担うのが適切とされています。個人と集団で担い手が分かれる点を整理します。
集団分析は派遣先が行うのが望ましい
集団分析とは、部署や職場といった一定規模の集団ごとにストレスチェック結果を集計・分析し、職場環境の改善につなげる取り組みです。派遣スタッフが実際に働くのは派遣先の職場であるため、厚生労働省は、派遣先が自社の労働者と派遣スタッフを含めた集団ごとに分析を行うことが望ましいとしています。
派遣元は個々のスタッフの結果しか把握できず、職場単位の環境改善は権限的にも実施が難しいためです。派遣先での集団分析は法令上の義務ではなく努力義務の位置づけですが、職場環境の改善という制度の目的を果たすうえで重要な役割を担います。
高ストレス者への就業上の措置と派遣元との連携
高ストレスと判定されたスタッフへの対応は、派遣元と派遣先の連携が欠かせません。面接指導や就業上の措置の決定は雇用主である派遣元が行いますが、労働時間の短縮や作業内容の変更といった措置を実際に反映するには、就業場所を管理する派遣先の協力が必要になります。
派遣先は、派遣スタッフがストレスチェックや面接指導を受けられるよう配慮し、就業状況や職場環境の情報を派遣元へ提供します。責任者を介した連絡ルートを整えておくと実務が滞りにくく、責任者の役割は「派遣元責任者・派遣先責任者の選任と記録義務【2026年版】」で解説しています。

派遣会社が整えるストレスチェックの記録と情報連携
ストレスチェックは、実施して終わりではなく、結果や面接指導の記録を適切に保存し、派遣先と連携する体制づくりまでが実務です。
実施状況・結果の記録と保存(安衛則)
事業者は、ストレスチェックの結果の記録を作成し、5年間保存することが労働安全衛生規則で定められています。面接指導を実施した場合も、実施年月日・対象者の氏名・医師の氏名・医師の意見などを記録し、同じく5年間保存します。
加えて、常時50人以上の事業場は、ストレスチェックの実施後に所轄の労働基準監督署へ実施状況を報告する義務があります。派遣スタッフを多数抱える派遣元では対象者が多く、誰がいつ受検し、高ストレス判定や面接指導の申出がどうだったかを、スタッフ単位で正確に管理する必要があります。
派遣元・派遣先の情報連携を仕組みで支える
ストレスチェックの運用に必要な情報の多くは、派遣スタッフの基本情報や就業先など、既存の労務データと重複します。これらを個別のExcelや紙で管理すると、受検状況や就業上の措置を二重に入力することになり、更新漏れや記録の不整合が起きやすくなります。
派遣HUBは、スタッフ台帳を軸に、ストレスチェックの運用に必要な情報を既存の労務データと結びつけて管理する設計です。下表は、派遣HUBのスタッフ台帳が保持する項目のうち、ストレスチェック運用で使う情報を自社整理したものです。
| 管理項目 | 既存労務データとの関係 | 一元管理の効果 |
|---|---|---|
| 氏名・所属・就業先 | スタッフ台帳と共通 | 台帳から自動で連携 |
| 実施年月日・受検/未受検 | 新規に管理 | 一覧で受検状況を把握 |
| 高ストレス判定・面接指導の申出 | 新規に管理 | 対象者をすばやく抽出 |
| 就業上の措置 | 契約・就業条件と共通 | 台帳へまとめて反映 |
出典:派遣HUBのスタッフ台帳の項目定義を基に自社整理(自社設計値)
このように基礎データを一元化すると、受検状況の管理と派遣先への情報連携の手間を抑えられます。台帳全体の設計は「派遣元管理台帳の書き方と保管ルール|記載必須18項目と自動化の進め方【2026年版】」で詳しく解説しています。

よくある質問
派遣社員のストレスチェックは派遣元と派遣先のどちらが実施しますか?
派遣スタッフへのストレスチェックと面接指導は、雇用主である派遣元が実施します。集団分析による職場環境の改善は、就業場所を管理する派遣先が行うのが望ましいとされています(出典:労働者派遣法第45条、厚生労働省「派遣労働者に対するストレスチェック等の実施に関する考え方」)。
ストレスチェック義務の「常時50人」に派遣スタッフは含まれますか?
派遣元では、内勤の社員に加え、雇用しているすべての派遣スタッフを含めて数えます。派遣スタッフは派遣先で働いていても派遣元の労働者としてカウントされるため、多くの派遣会社が50人以上に達します(出典:労働安全衛生法第66条の10)。
50人未満の派遣会社もストレスチェックは義務ですか?
現在、常時50人未満の事業場は努力義務ですが、2025年に公布された改正労働安全衛生法により、2028年4月1日から50人未満の事業場にも義務化される予定です。小規模な派遣会社も準備が必要になります(出典:改正労働安全衛生法、厚生労働省資料)。
派遣スタッフの集団分析は誰が行いますか?
集団分析は、派遣スタッフが実際に働く職場を管理する派遣先が行うのが望ましいとされています。職場単位での分析が職場環境の改善につながるためで、派遣先の努力義務の位置づけです(出典:厚生労働省「派遣労働者に対するストレスチェック等の実施に関する考え方」)。
高ストレスと判定された派遣スタッフへの対応は誰の役割ですか?
面接指導や就業上の措置の決定は雇用主である派遣元が行い、労働時間の短縮など就業場所での対応は派遣先が協力します。派遣元と派遣先の連携が欠かせません(出典:労働安全衛生法第66条の10、労働者派遣法第45条)。
まとめ:実施は派遣元・改善は派遣先、記録は仕組みで支える
派遣スタッフのストレスチェックは、実施と面接指導を派遣元が担い、集団分析による職場環境の改善を派遣先が担う役割分担が基本です。派遣元の実施義務は事業場単位で判定し、内勤社員に加えて雇用する派遣スタッフを含めて50人を数えるため、多くの派遣会社がすでに対象になっています。2028年4月からは50人未満の事業場にも義務が広がる予定で、小規模な派遣会社も準備が求められます。
実施後は結果や面接指導の記録を5年間保存し、派遣先との情報連携を続ける必要があります。基礎データを一元化し、受検状況の管理と連携を仕組みで支えることが、義務を安定して満たす近道になります。
出典:労働安全衛生法第66条の10、労働者派遣法第45条、労働安全衛生規則、厚生労働省「派遣労働者に対するストレスチェック等の実施に関する考え方」、厚生労働省「改正労働安全衛生法(ストレスチェックの50人未満事業場への適用拡大)」、厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」
ストレスチェックの受検状況の管理と派遣先への情報連携を、Excelの手作業に頼らず仕組みで整えませんか。
派遣HUBは月額¥2,980/名(税込)から、スタッフ台帳を軸にストレスチェックの記録・就業上の措置・派遣先との連携情報を一元管理します。初期費用¥30,000(税込)です。
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