
派遣の無期転換(5年ルール)とは|3年ルールとの違いと派遣元の対応【2026年版】
派遣スタッフの無期転換(5年ルール)とは、同一の派遣会社(派遣元)との有期労働契約が通算5年を超えたとき、スタッフ本人の申込みによって無期労働契約へ転換される労働契約法上のルールです。雇用主は派遣元であるため、申込みを受けて対応するのは派遣先ではなく派遣会社自身になります。
派遣の現場では「3年で派遣先が変わるのに、なぜ5年でうちが無期にしなければならないのか」という混乱がよく起きます。これは、派遣先を数える派遣法の3年ルールと、雇用主である派遣元を数える労働契約法の5年ルールが、根拠法もカウント単位も異なる別の制度だからです。
本記事では、派遣元の管理担当者が押さえるべき通算5年のカウント方法、3年ルールとの違い、2024年4月に加わった明示義務、そして申込権が発生するスタッフの抽出と通算期間管理の実務までを、順に整理します。
結論:派遣の5年ルール(無期転換)早見表と3年ルールとの違い
無期転換ルールは、有期契約の派遣スタッフが同じ派遣元と通算5年を超えて契約したときに発生する制度です。数えるのは派遣先での就業ではなく、雇用主である派遣元との労働契約の通算期間です。まず、混同されやすい派遣法の3年ルールとの違いを1枚で押さえておきましょう。
| 比較項目 | 派遣の3年ルール | 派遣の5年ルール(無期転換) |
|---|---|---|
| 根拠法 | 労働者派遣法(40条の2・40条の3) | 労働契約法(18条) |
| 対象 | 有期・無期を問わない派遣受入 | 有期労働契約の派遣スタッフ |
| 数える期間 | 同一の派遣先・組織単位での継続就業 | 同一の派遣元との労働契約の通算 |
| カウント単位 | 派遣先/事業所・組織単位 | 派遣元(雇用主)単位 |
| 区切りの目安 | 継続3年 | 通算5年超 |
| 派遣先が変わると | 原則リセット | 派遣元が同じなら通算は継続 |
| 生じる効果 | 派遣可能期間の上限・抵触日 | スタッフの申込みで無期契約へ転換 |
| クーリング | 原則3か月超 | 原則6か月以上 |

このように、3年ルールと5年ルールは「誰を基準に数えるか」が正反対です。派遣元の担当者は、両方を別々のカウンターとして並行管理する必要があります。
無期転換ルール(労働契約法18条)とは|雇用主は派遣元
無期転換ルールの根拠は労働契約法第18条です。派遣スタッフであっても、雇用契約を結んでいる相手は派遣元なので、無期転換の権利義務はすべて派遣会社との間で発生します。
通算5年のカウント方法(派遣先が変わっても派遣元が同じなら通算)
通算契約期間は、同一の使用者(=派遣元)との有期労働契約を足し合わせて数えます(出典: 労働契約法第18条)。派遣スタッフが途中でA社からB社へ派遣先を変えても、雇用主である派遣元との労働契約が続いていれば、その期間は通算されます。
ここが3年ルールとの決定的な違いです。3年ルールは派遣先の組織単位で数えるため派遣先が変わればリセットされますが、5年ルールは派遣元で数えるため派遣先が変わっても止まりません。派遣元は、派遣先ごとの就業履歴とは別に、スタッフ単位の通算契約期間を管理しておく必要があります。
無期転換申込権の発生と申込み後の無期労働契約
通算契約期間が5年を超える有期労働契約の期間中は、スタッフに無期転換申込権が発生します。スタッフが申込みをすると、使用者である派遣元は承諾したものとみなされ、拒否できません(出典: 労働契約法第18条)。無期労働契約は、申込み時点の有期契約が終了する日の翌日から始まります。
転換されるのは「契約期間の定めがなくなる」点であり、別段の定めがない限り、その他の労働条件は従前と同一です。つまり無期転換は自動的な正社員化や賃金アップを意味しません。この点はスタッフからの問い合わせが多いため、派遣元として正確に説明できるようにしておきます。派遣スタッフの定着施策とあわせて考えたい方は「派遣スタッフの定着率を上げる方法」もご覧ください。
クーリングによる通算リセット(3年ルールのクーリングとの違い)
有期契約と次の契約の間に無契約期間(空白期間)があると、通算がリセットされる場合があります。無期転換ルールでは、原則として無契約期間が6か月以上あると、それ以前の期間は通算されません。直前の通算契約期間が1年未満のときは、それに応じて6か月より短い期間でリセットされます。
派遣法の3年ルールのクーリングは原則3か月超であり、日数の基準も対象も異なります。二つのクーリングを取り違えると通算判定を誤るため、抵触日側の計算は「派遣の3年ルール・抵触日を手作業で管理するリスクと自動化の方法【2026年版】」で分けて確認するのがおすすめです。

派遣法の3年ルールと労契法の5年ルールの違い
派遣元が最も混乱しやすいのが、この二つのルールの棲み分けです。根拠法・対象・カウント単位を並べて整理します。
根拠法・対象・起算/カウント単位の違い(早見表)
3年ルールは労働者派遣法、5年ルールは労働契約法という別々の法律に基づきます。目的も、3年ルールが「派遣という働き方の固定化を防ぐ(派遣先での受入期間の制限)」、5年ルールが「有期雇用の濫用を防ぐ(雇用主との契約の安定)」と異なります。
| 観点 | 3年ルール(派遣法) | 5年ルール(労契法18条) |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 派遣受入期間の制限 | 有期契約の無期転換 |
| 基準になる相手 | 派遣先 | 派遣元(雇用主) |
| リセット要因 | 派遣先・組織単位の変更 | 派遣元との契約が途切れる |
| 対応する主体 | 派遣先の受入・派遣元の通知 | 派遣元が申込みに対応 |
出典: 労働者派遣法40条の2・40条の3、労働契約法第18条(e-Gov法令検索)を基に自社整理。
同じスタッフでも、3年ルールでは「もうすぐ抵触日」、5年ルールでは「まだ通算3年目」ということが普通に起こります。二つの時計は連動しないと理解しておきましょう。
無期雇用派遣(常用型)は3年ルールも無期転換ルールも適用外
派遣元に無期雇用されている常用型の派遣スタッフは、そもそも有期契約ではないため、無期転換ルール(有期から無期への転換)の対象になりません。加えて、無期雇用の派遣労働者に係る派遣は、事業所単位の期間制限の対象外です(出典: 労働者派遣法第40条の2第1項)。個人単位の期間制限(第40条の3)も、無期雇用であれば適用されません。
つまり無期雇用派遣は、二つのルールのどちらからも外れます。派遣元は、スタッフごとに有期か無期かの雇用区分を明確に持ち、区分に応じて管理対象を切り分けることが実務の起点になります。
派遣元が実務で対応すべきこと
無期転換は「起きてから慌てる」と対応が後手に回ります。派遣元が先回りすべきは、明示義務の履行と、申込権が発生するスタッフの早期抽出です。
2024年4月からの無期転換申込機会・転換後労働条件の明示義務
2024年4月施行の労働基準法施行規則第5条の改正により、無期転換申込権が発生する契約更新のタイミングごとに、無期転換を申し込めること(無期転換申込機会)と、無期転換後の労働条件を書面で明示することが義務づけられました(出典: 労働基準法施行規則第5条、厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」)。
明示が必要になるのは、通算5年を超える更新のときと、申込みにより無期契約が成立するときです。対象となる更新を取りこぼすと明示漏れになるため、どの契約更新が申込権発生のタイミングかを事前に把握しておく仕組みが要ります。

申込権が発生するスタッフの抽出と通算契約期間の管理
明示義務を確実に履行するには、各スタッフの契約開始日・終了日・更新回数・無契約期間を積み上げて通算契約期間を把握し、5年到達見込み者を先に洗い出す必要があります。この積み上げをExcelと記憶で行うと、更新のたびの手計算とクーリング判定でずれが生じやすくなります。
下表は、無期転換の通算管理で必要になる管理項目を、手作業と仕組み化で対比した自社整理です。
| 管理項目 | 手作業(Excel)での扱い | 仕組み化した場合の扱い |
|---|---|---|
| 契約の開始日・終了日・更新回数 | 契約ごとに手入力・転記 | スタッフ台帳に登録し保持 |
| 通算契約期間 | 更新のたびに手計算 | 契約データから自動集計 |
| 無契約期間(クーリング判定) | 空白期間を目視で確認 | 空白期間を検知し通算可否を判定 |
| 通算5年到達見込み者 | 一覧を目視で抽出 | 到達見込み者を自動抽出 |
| 2024年明示義務の対象更新 | 対象契約を手作業で選別 | 申込権発生の更新をフラグ表示 |
出典: 派遣HUBの契約・スタッフ管理機能の項目定義に基づく自社整理(YDAIコンサルティング株式会社・2026年7月時点)。通算契約期間は派遣元管理台帳の記録とも連動するため、記録面は「派遣元管理台帳の書き方と保管ルール(18項目)」もあわせてご確認ください。

派遣HUBによる無期転換・通算期間管理の自動化
派遣HUBは、有期契約の開始日・終了日・更新回数・無契約期間をスタッフ台帳に集約し、通算契約期間を自動集計します。これにより、通算5年到達見込み者と、申込権が発生する契約更新を早い段階で把握でき、明示義務の対象更新を見落としにくくなります。
雇用区分(有期・無期)で管理対象を切り分けられるため、無期雇用派遣を通算管理の対象から自動的に除外することもできます。通算期間の管理は同一労働同一賃金の待遇管理とも接点があるため、方式選択とあわせて設計したい場合は「派遣の同一労働同一賃金(労使協定方式)対応ガイド」も参考にしてください。

よくある質問
派遣の5年ルール(無期転換)と3年ルールは何が違いますか
根拠法とカウント単位が異なります。3年ルールは労働者派遣法に基づき派遣先の組織単位で受入期間を制限する制度、5年ルールは労働契約法第18条に基づき雇用主である派遣元との通算契約期間で無期転換が発生する制度です(出典: 労働者派遣法40条の2、労働契約法第18条)。
無期転換の申込先は派遣元・派遣先のどちらですか
派遣元です。無期転換申込権は雇用主との間で発生する権利であり、派遣スタッフの雇用主は派遣会社(派遣元)だからです。申込みがあると派遣元は承諾したものとみなされ、拒否できません(出典: 労働契約法第18条)。
派遣先が変わっても通算5年はリセットされますか
派遣元との労働契約が続いていれば、派遣先が変わっても通算は継続します。5年ルールは派遣元との契約を数えるためです(出典: 労働契約法第18条)。ただし契約と契約の間に原則6か月以上の無契約期間があると、クーリングにより通算がリセットされます。
無期雇用派遣(常用型)にも無期転換ルールは適用されますか
適用されません。無期雇用派遣はもともと有期契約ではないため、有期から無期への転換ルールの対象外です。また無期雇用の派遣は事業所単位・個人単位の期間制限の対象にもなりません(出典: 労働者派遣法第40条の2第1項・第40条の3)。
2024年4月から派遣会社に追加された明示義務は何ですか
無期転換申込権が発生する契約更新のたびに、無期転換を申し込めること(無期転換申込機会)と、無期転換後の労働条件を書面で明示する義務が加わりました(出典: 労働基準法施行規則第5条、厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」)。
まとめ:5年ルールは通算管理と明示義務を仕組みで
派遣の無期転換(5年ルール)は、雇用主である派遣元との通算契約期間が5年を超えたときにスタッフの申込みで無期契約へ転換される、労働契約法第18条の制度です。派遣先で数える3年ルールとは根拠法もカウント単位も異なり、派遣先が変わっても派遣元が同じなら通算は続きます。派遣元がつまずかないための鍵は、有期・無期の区分に応じた通算契約期間の把握と、2024年4月から義務化された明示の確実な履行です。これらを記憶とExcelではなく仕組みで担保すれば、申込権の見落としや明示漏れを防げます。
出典: 労働契約法第18条(e-Gov法令検索)、厚生労働省「有期契約労働者の無期転換サイト」、労働基準法施行規則第5条(2024年4月施行・無期転換申込機会/無期転換後の労働条件の明示)および厚生労働省リーフレット「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」、労働者派遣法第40条の2第1項・第40条の3(無期雇用派遣の期間制限の適用除外)、厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」。
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