
派遣の期間制限を受けない5つの例外|無期雇用・60歳以上・産休代替の実務【2026年版】
派遣の期間制限(3年ルール)を受けない例外は、無期雇用の派遣労働者、60歳以上の派遣労働者、有期プロジェクト業務、日数限定業務、産前産後・育児・介護休業の代替業務の5つです。これらは労働者派遣法第40条の2第1項の各号に定められており、事業所単位・個人単位のいずれの期間制限もかかりません。
派遣元の実務でつまずきやすいのは、「例外に当たるかどうか」の判定そのものよりも、例外を適用したあとに何を証憑として残し、派遣元管理台帳や派遣契約のどこに反映するかという運用面です。判定を誤れば抵触日管理から外すべきスタッフを数え続け、逆に反映を怠れば労働局の調査で対象外とした理由を説明できません。
本記事では、5つの例外を1つずつ条文で確認したうえで、混同しやすい「クーリング期間」との違いと「60歳以上」の二制度併存を切り分け、派遣元が例外を適用するときの証憑・台帳・契約への反映を実務目線で整理します。
結論:派遣の期間制限を受けない5つの例外【早見表】
派遣の期間制限の例外とは、労働者派遣法第40条の2第1項のただし書きに列挙された、事業所単位・個人単位の3年の期間制限を最初から受けない労働者派遣のことです。制限が「延長できる」のではなく「そもそもかからない」点が、意見聴取による延長やクーリングによるカウントのリセットとは根本的に異なります。まず5つの例外を1枚で押さえましょう。
| 例外区分 | 対象 | 根拠条文 | 期間制限の扱い |
|---|---|---|---|
| 無期雇用派遣 | 派遣元に無期雇用される派遣労働者 | 派遣法40条の2第1項第1号 | 事業所単位・個人単位とも対象外 |
| 60歳以上 | 派遣就業の開始時に60歳以上の派遣労働者 | 派遣法40条の2第1項第2号 | 対象外 |
| 有期プロジェクト業務 | 事業の開始・転換・拡大・縮小・廃止のための、一定期間内に完了予定の業務 | 派遣法40条の2第1項第3号イ | 対象外 |
| 日数限定業務 | 月10日以下かつ通常労働者の所定労働日数の半分以下の業務 | 派遣法40条の2第1項第3号ロ | 対象外 |
| 休業代替業務 | 産前産後・育児・介護休業を取得する労働者の代替 | 派遣法40条の2第1項第4号・第5号 | 対象外 |

以下では、各例外の判定要件と、適用時に派遣元が押さえるべき実務を順に見ていきます。
5つの例外を1つずつ確認する
5つの例外はいずれも労働者派遣法第40条の2第1項に根拠がありますが、判定の要件はそれぞれ異なります。自社の案件がどの例外に当たるかを、条文の要件に沿って確認します。

無期雇用派遣労働者(派遣元に無期雇用されるスタッフ)
派遣元に無期雇用されている派遣労働者に係る労働者派遣は、事業所単位・個人単位のいずれの期間制限も受けません(出典: 労働者派遣法第40条の2第1項第1号、第40条の3)。無期雇用であれば有期契約に特有の雇用不安が小さく、期間制限で就業を区切って保護する必要性が低いためです。判定の起点は雇用契約書上の期間の定めの有無であり、実態としての就業年数ではありません。有期契約を反復更新して長く働いていても、契約に期間の定めがある限り無期雇用派遣には当たらない点に注意します。
60歳以上の派遣労働者(雇用機会の確保が特に困難な者)
派遣就業を開始する時点で60歳以上の派遣労働者に係る労働者派遣も、期間制限を受けません(出典: 労働者派遣法第40条の2第1項第2号)。定年後の再就職など、雇用の機会の確保が特に困難な層の就業機会を期間制限で狭めないための例外です。実務では生年月日を確認できる書類で年齢を把握し、60歳到達の前後で期間制限の対象が切り替わるため、いつ60歳以上に該当したかを記録しておきます。就業開始時点の年齢が基準になる点を取り違えないようにします。
有期プロジェクト業務(終期が明確な事業単位の業務)
事業の開始、転換、拡大、縮小または廃止のための業務であって、一定の期間内に完了することが予定されているものは、期間制限の対象外です(出典: 労働者派遣法第40条の2第1項第3号イ)。新拠点の立ち上げやシステム刷新、事業撤退に伴う整理業務など、終期が客観的に明確な業務が典型例です。恒常的に続く定常業務は「一定の期間内に完了」に当たらないため、単に契約期間を区切っただけでこの例外を適用することはできません。終期の根拠となる事業計画などの資料を残しておくことが実務上の要点になります。
日数限定業務(月10日以下かつ通常労働者の半分以下)
1か月に行われる日数が、派遣先で雇用される通常の労働者の1か月の所定労働日数に比べて相当程度少なく、かつ厚生労働大臣の定める日数以下の業務も、期間制限を受けません(出典: 労働者派遣法第40条の2第1項第3号ロ)。厚生労働大臣の定める日数は10日であり、「相当程度少なく」は通常の労働者の所定労働日数の半分以下と解されています(出典: 厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」)。したがって、月の所定労働日数が20日の職場であれば、月10日以下が一つの目安になります。月次の棚卸しや締め対応など、特定の日だけ発生する業務が想定されます。
産前産後・育児・介護休業取得者の代替業務
産前産後休業や育児休業を取得する労働者の業務、および介護休業等を取得する労働者の業務を代替する労働者派遣も、期間制限の対象外です(出典: 労働者派遣法第40条の2第1項第4号・第5号)。休業取得者が復帰するまでという終期があり、休業期間中に限って業務を代替する派遣だからです。適用にあたっては、誰のどの休業を代替するのかを明らかにし、休業の開始・終了予定を確認できる情報を派遣先から受け取って、代替関係を記録しておく必要があります。
混同しやすい2点を切り分ける
期間制限の例外は、実務で似た制度と取り違えられがちです。特に「クーリング期間」と「日雇い派遣の60歳以上例外」の2点は、根拠も効果も別物です。

「例外(対象外)」と「クーリング期間(カウントのリセット)」は別物
期間制限の例外は「最初から期間制限がかからない」制度で、クーリング期間は「いったんかかった期間のカウントを空白期間でリセットする」制度です。前者は第40条の2第1項各号に該当する限り抵触日そのものが発生しませんが、後者は原則3か月超の空白を空けることで再びゼロから3年を数え直す運用です。両者を混同すると、本来は抵触日管理の対象外であるスタッフにクーリングを当てはめて無用な空白を設けたり、逆に例外でないスタッフを例外扱いして期間を超過させたりします。抵触日やクーリングの数え方そのものは「派遣の3年ルール・抵触日を手作業で管理するリスクと自動化の方法【2026年版】」で確認してください。
「60歳以上」は期間制限と日雇い派遣で別制度(40条の2 と 施行令4条)
60歳以上という要件は、期間制限の例外(労働者派遣法第40条の2第1項第2号)と、日雇い派遣の原則禁止の例外(労働者派遣法施行令第4条)の両方に登場しますが、根拠条文も対象とする規制も異なります。前者は3年の期間制限を受けないための要件、後者は30日以内の日雇い派遣が例外的に認められるための要件です。同じ「60歳以上」でも適用される場面がまったく違うため、案件がどちらの論点なのかを取り違えないようにします。日雇い派遣側の要件は「日雇い派遣の原則禁止と例外(30日以内)」で整理しています。
派遣元が例外を適用するときの実務(証憑・台帳・契約)
例外に該当すること自体は判定で決まりますが、労働局の調査で問われるのは「なぜ例外と判断したか」を裏づける証憑と、その反映先です。例外区分ごとに、取得・保管する証憑と反映欄を整理します。
例外区分ごとに取得・保管する証憑と派遣元管理台帳・契約への反映欄
下表は、5つの例外区分ごとに派遣元が取得・保管すべき証憑と、派遣元管理台帳・派遣契約への反映欄を、労働者派遣法第40条の2第1項と業務取扱要領を基に自社整理したものです。
| 例外区分 | 取得・保管する証憑(例) | 派遣元管理台帳・派遣契約への反映 |
|---|---|---|
| 無期雇用派遣 | 無期労働契約書(期間の定めなし) | 雇用区分を無期として登録し抵触日管理の対象外に |
| 60歳以上 | 生年月日を確認できる書類 | 就業開始時の年齢と該当日を記録 |
| 有期プロジェクト業務 | 終期が明確な事業計画・業務終了予定の資料 | 業務の終期を派遣契約に明記 |
| 日数限定業務 | 派遣先の通常労働者の所定労働日数がわかる資料・就業日数の記録 | 月間就業日数と半分以下・10日以下の判定を記録 |
| 休業代替業務 | 休業取得者の休業開始・終了予定を示す情報 | 代替対象者と休業期間を派遣契約・台帳に記録 |
出典: 労働者派遣法第40条の2第1項および厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」を基にYDAIコンサルティング株式会社が自社整理(2026年7月時点)。証憑の名称・様式は個別の事情により異なります。

例外区分の判断根拠を証憑として残し、派遣元管理台帳や派遣契約に反映しておくと、労働局の定期調査で「なぜこのスタッフを抵触日管理の対象外としたか」を一貫して説明できます。台帳の記載項目や保管ルールは「派遣元管理台帳の書き方と保管ルール(18項目)」もあわせて確認してください。
派遣HUBで例外区分をフラグ管理し抵触日管理対象から自動除外する
派遣HUBでは、スタッフや派遣契約に「無期雇用」「60歳以上」「有期プロジェクト」「日数限定」「休業代替」といった例外区分をフラグとして登録できます。フラグが立ったスタッフは抵触日カレンダーの算定対象から自動的に除外されるため、期間制限の対象者だけに管理を絞り込めます。5つの例外区分を人手で判定し、Excelの抵触日一覧から都度外す運用に比べ、判定漏れや外し忘れを減らせるのが仕組み化の利点です(出典: 派遣HUBの契約・スタッフ管理機能の項目定義に基づく自社整理・2026年7月時点)。

よくある質問
派遣の期間制限を受けない例外は何ですか?
無期雇用の派遣労働者、60歳以上の派遣労働者、有期プロジェクト業務、日数限定業務、産前産後・育児・介護休業の代替業務の5つです(出典: 労働者派遣法第40条の2第1項)。これらは事業所単位・個人単位のいずれの期間制限も受けません。
無期雇用派遣なら期間制限は一切かかりませんか?
派遣元に無期雇用されている派遣労働者であれば、事業所単位・個人単位の期間制限はかかりません(出典: 労働者派遣法第40条の2第1項第1号、第40条の3)。判定は雇用契約に期間の定めがないかどうかで行い、有期契約を長く更新しているだけでは無期雇用派遣には当たりません。
60歳以上の例外は日雇い派遣の60歳以上例外と同じですか?
別制度です。期間制限の例外は労働者派遣法第40条の2第1項第2号、日雇い派遣の原則禁止の例外は労働者派遣法施行令第4条が根拠で、規制する対象が異なります(出典: 労働者派遣法第40条の2第1項・施行令第4条)。同じ年齢要件でも適用される場面が違います。
有期プロジェクト業務や日数限定業務の判定基準は何ですか?
有期プロジェクト業務は、事業の開始・転換・拡大・縮小・廃止のための業務で一定の期間内に完了予定であることが要件です。日数限定業務は、月の就業日数が派遣先の通常労働者の所定労働日数の半分以下かつ月10日以下であることが要件です(出典: 労働者派遣法第40条の2第1項第3号、厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」)。
例外を適用するとき派遣元は何を記録・保管すべきですか?
例外区分ごとに判断根拠となる証憑(無期労働契約書、年齢確認書類、事業の終期がわかる資料、就業日数の記録、休業取得者の休業予定など)を取得・保管し、派遣元管理台帳や派遣契約に反映します。労働局の調査で「なぜ期間制限の対象外としたか」を説明できる状態にしておくことが重要です。
まとめ:例外は「判定」より「反映と証憑」で守る
派遣の期間制限を受けない例外は、無期雇用・60歳以上・有期プロジェクト業務・日数限定業務・休業代替業務の5つで、いずれも労働者派遣法第40条の2第1項に根拠があります。5つに当たるかどうかの判定は条文の要件で決まりますが、派遣元の実務で問われるのは、例外と判断した根拠を証憑として残し、派遣元管理台帳や派遣契約に反映し、抵触日管理の対象から正しく外せているかどうかです。例外区分をフラグで管理し、対象外のスタッフを自動的に抵触日算定から除外できる仕組みにしておけば、判定漏れも反映漏れも防ぎやすくなります。
出典: 労働者派遣法第40条の2第1項(事業所単位の期間制限の例外=第1号 無期雇用派遣労働者/第2号 60歳以上/第3号 有期プロジェクト業務・日数限定業務/第4号・第5号 休業代替業務)・第40条の3(個人単位の期間制限)、労働者派遣法施行令第4条(日雇い派遣の原則禁止の例外)、厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」(日数限定業務の「相当程度少なく」=半分以下、厚生労働大臣の定める日数=10日)。いずれもe-Gov法令検索・厚生労働省公表資料で確認(2026年7月時点)。
派遣の期間制限は「対象者だけを正確に数える」ことが出発点です。派遣HUBは、例外区分のフラグ管理で対象外のスタッフを抵触日算定から自動除外し、月額¥2,980/名(税込)から・初期費用¥30,000(税込)で導入できます。まずは無料で製品体験いただき、実際の管理画面でご確認ください。
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