労働者派遣事業の許可要件と更新手続き|資産要件・派遣元責任者【2026年版】
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労働者派遣事業の許可要件と更新手続き|資産要件・派遣元責任者【2026年版】

派遣HUB編集部(派遣管理SaaS実務チーム)
2026年6月15日29分で読める

労働者派遣事業を始める、あるいは続けるには、都道府県労働局を経由した厚生労働大臣の「許可」が必須です。では、その許可を得るには具体的に何の要件を満たし、許可を取った後はどのサイクルで更新していけばよいのでしょうか。

許可要件は大きく「財産的基礎(資産要件)」「派遣元責任者の選任」「キャリア形成支援制度の整備」「個人情報の適正管理」の4本柱で構成されています。本記事では、労働者派遣法の条文と厚生労働省の公表資料をもとに、新規許可と更新の要件・有効期間・手続きの流れを整理し、許可後に発生し続ける帳簿・コンプライアンス管理の負担を抑える実務のポイントまで解説します。

結論:許可は4要件+更新サイクル(新規3年・更新後5年)で押さえる

労働者派遣事業の許可は、2015年改正で特定労働者派遣事業が廃止され、すべて許可制に一本化されました(労働者派遣法第5条)。許可を得るための要件と更新サイクルの全体像は次のとおりです。

項目内容根拠
制度区分許可制(2015年改正で一本化)派遣法第5条
要件1 財産的基礎基準資産額・現金預金額などの資産要件厚労省「許可・更新手続マニュアル」
要件2 派遣元責任者講習受講者を事業所ごとに選任派遣法第36条
要件3 キャリア形成支援段階的・体系的な教育訓練制度の整備派遣法第30条の2
要件4 個人情報管理個人情報の適正な管理体制派遣法第24条の3
有効期間(新規)3年厚労省「許可・更新手続マニュアル」
有効期間(更新後)5年厚労省「許可・更新手続マニュアル」

資産要件の具体額(基準資産額・現金預金額等)や有効期間は、改正・運用の見直しがあり得るため、申請前に必ず厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」および「許可・更新手続マニュアル」の最新版で確認してください。本記事の金額は執筆時点の目安です。

許可は一度取れば終わりではなく、新規許可は3年、その後の更新では5年ごとに更新審査を受け続ける必要があります。更新時にも資産要件などを満たしているかが審査されるため、許可は「取得時の一時的なハードル」ではなく「事業を続ける限り維持し続ける状態」だと捉えるのが実務的です。

労働者派遣事業の許可4要件と更新サイクルの全体像
労働者派遣事業の許可4要件と更新サイクルの全体像

なぜ許可制なのか:2015年改正で特定派遣が廃止された背景

労働者派遣事業はかつて「一般労働者派遣事業(許可制)」と「特定労働者派遣事業(届出制)」の2区分でした。2015年の労働者派遣法改正により、特定労働者派遣事業は廃止され、すべての労働者派遣事業が許可制へ一本化されました(派遣法第5条)。

届出制が廃止された背景には、雇用が不安定になりやすい派遣労働者の保護を強化する狙いがあります。許可制では財産的基礎や責任者の選任など一定の事業遂行能力が審査されるため、事業者としての適格性を入口でチェックできるという考え方です。

許可を受けずに労働者派遣事業を行うと、無許可派遣として行政処分や罰則の対象になります。グループ会社間の出向と派遣の線引きなど、判断が難しいケースは労働局や社会保険労務士に確認するのが安全です。

この一本化により、規模の大小を問わず派遣を業として行うすべての事業者が、共通の許可基準と更新サイクルの中で運営することになりました。中小の派遣会社にとっては、許可取得後に求められる帳簿整備やコンプライアンス管理が、専任部署を持つ大手と同じ水準で求められる点が実務上の負担になります。

要件1:財産的基礎(資産要件)の考え方

許可要件の中で最も準備に時間がかかるのが財産的基礎、いわゆる資産要件です。これは派遣会社が一定の財務基盤を持ち、派遣労働者への賃金支払いなどを安定的に行えることを担保するための基準です。

資産要件は主に「基準資産額」と「現金預金額」、そして負債との関係で判定されます。執筆時点の目安は次のとおりですが、金額は見直される可能性があるため必ず最新の手続マニュアルで確認してください。

判定項目目安(事業所1か所あたり)補足
基準資産額2,000万円以上資産総額から負債総額を控除した額
基準資産額と負債の関係負債総額の7分の1以上上記とあわせて満たす必要あり
現金預金額1,500万円以上即時の支払い能力を担保

基準資産額=資産総額−負債総額(繰延資産・営業権を除くなど調整あり)。事業所が2か所なら基準資産額・現金預金額の目安はおおむね2倍で計算される点に注意が必要です。

新規許可の段階で資産要件を満たせない場合は、増資や決算期の調整などで基準を満たしてから申請するのが一般的です。さらに重要なのは、この資産要件が更新時にも審査される点です。直近の決算で基準資産額や現金預金額が目安を下回ると更新が難しくなるため、許可取得後も「資産要件を割らない財務運営」を意識し続ける必要があります。

財産的基礎(基準資産額・現金預金額)の判定イメージ
財産的基礎(基準資産額・現金預金額)の判定イメージ

要件2:派遣元責任者の選任と要件

派遣元責任者は、派遣労働者の苦情処理や就業条件の確保、教育訓練の管理などを担う責任者で、事業所ごとに選任が義務づけられています(派遣法第36条)。許可申請にあたっては、この派遣元責任者が適切に選任されていることが審査されます。

派遣元責任者になるには、原則として「派遣元責任者講習」を受講していることが要件です。講習は厚生労働省が委託・認定した実施機関が行い、受講証明書は申請書類に添付します。受講には有効期間があるため、申請時点で期限が切れていないかを確認しておく必要があります。

派遣元責任者は、派遣労働者おおむね100人につき1人以上を選任するのが目安とされています。事業所の規模が大きくなる場合は、責任者の人数配置も計画に入れておくとよいでしょう。

派遣元責任者には、成年に達した後3年以上の雇用管理の経験があることなど、一定の要件が求められます。中小の派遣会社では経営者自身が派遣元責任者を兼ねるケースも多く、その場合は講習受講と要件の充足を早めに済ませておくことが、スムーズな申請につながります。

要件3:キャリア形成支援制度の整備

許可を受けるには、派遣労働者のキャリア形成を支援する制度を整備していることが必要です(派遣法第30条の2)。これは2015年改正で許可要件として明確化されたもので、派遣労働者を「使い捨て」にせず、計画的にスキルアップさせる仕組みを事業者に求めるものです。

具体的には、段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画を持っていることが求められます。フルタイムで3年以上の雇用が見込まれる派遣労働者については、毎年おおむね8時間以上の教育訓練の機会を提供することが目安とされています。あわせて、希望する派遣労働者にはキャリアコンサルティングの機会を提供する体制も必要です。

整備すべき項目内容の目安
教育訓練計画段階的・体系的な内容で職務に応じて設計
訓練時間の目安フルタイム3年以上見込み者に毎年おおむね8時間以上
キャリアコンサルティング希望者に相談機会を提供する体制
訓練の記録実施内容を記録し管理

「おおむね8時間以上」はあくまで目安であり、対象者の雇用見込みや職種によって運用が変わります。詳細は厚生労働省の取扱要領で確認してください。

教育訓練は計画を作って終わりではなく、実施した訓練の記録を残し、いつ・誰に・どのような訓練を行ったかを管理する必要があります。派遣スタッフ数が増えるほどこの記録管理は煩雑になり、Excelでの個別管理では抜け漏れが起きやすくなります。

要件4:個人情報の適正な管理

派遣会社はスタッフの履歴・スキル・資格・給与といった機微な個人情報を大量に扱うため、個人情報の適正な管理体制を整えていることも許可要件の一つです(派遣法第24条の3、個人情報保護法)。

求められるのは、個人情報を業務に必要な範囲でのみ収集・利用すること、第三者への不適切な提供を防ぐこと、そしてアクセス権限の管理や情報漏えい対策などの安全管理措置を講じることです。許可申請では、これらを定めた個人情報適正管理規程の整備状況が確認されます。

派遣スタッフの登録情報や派遣先企業の情報は、誰がいつアクセスしたかを追える仕組みにしておくと、漏えい時の原因特定や監査対応がしやすくなります。紙やローカルExcelでの管理は、アクセス履歴が残らない点がリスクになります。

中小規模の派遣会社では、個人情報の管理が担当者の手作業に依存しがちです。属人化したファイル管理は、退職時の引き継ぎ漏れや権限の付けっぱなしといった形でリスクが顕在化します。誰がどの情報にアクセスできるかを役割で管理し、操作の履歴が残る仕組みにしておくことが、許可要件の充足と日常のリスク低減の両面で有効です。

更新手続きの流れと有効期間(新規3年・更新後5年)

許可は有効期間が定められており、期間が満了する前に更新手続きを行わなければ事業を継続できません。有効期間は新規許可で3年、その後の更新では5年ごととなります(厚生労働省「許可・更新手続マニュアル」)。

更新手続きの基本的な流れは次のとおりです。

ステップ内容時期の目安
1 要件の自己点検資産要件・責任者・教育訓練・個人情報管理を確認有効期間満了の数か月前
2 書類準備直近の決算書類・各種規程・記録などを整備満了の3か月前を目安に着手
3 更新申請労働局へ更新申請書と添付書類を提出満了前(余裕を持って)
4 審査資産要件などの充足を審査提出後
5 更新許可更新後の有効期間は5年審査通過後

更新申請には手数料(収入印紙等)が必要です。金額や提出書類は労働局や年度によって異なる場合があるため、申請前に管轄労働局の案内を確認してください。

更新で特につまずきやすいのが、直近決算での資産要件と、教育訓練・帳簿類の記録の不備です。更新審査では、許可期間中にきちんとコンプライアンスを守って運営してきたかが書類で問われます。法定帳簿(派遣元管理台帳など)や教育訓練記録、マージン率の公開状況が整っていないと、更新準備の段階で慌てて遡って整備することになり、大きな負担になります。

新規3年・更新後5年の許可更新サイクルと準備時期
新規3年・更新後5年の許可更新サイクルと準備時期

許可後も続く管理負担を抑える実務のコツ

許可取得はゴールではなくスタートです。許可を維持し更新を通過し続けるには、許可期間を通じて法定帳簿・教育訓練記録・コンプライアンス対応を継続的に整えておく必要があります。ここを手作業で回そうとすると、人員の少ない中小派遣会社ほど負担が重くなります。

許可後に継続的に求められる代表的な管理は次のとおりです。

管理項目内容根拠
派遣元管理台帳派遣ごとに記載・3年保管(計18項目)派遣法第37条
教育訓練の記録実施内容を記録・管理派遣法第30条の2
マージン率の公開計算式に基づき原則インターネット公開派遣法第23条第5項
個人情報の管理アクセス管理・安全管理措置派遣法第24条の3
3年ルールの管理事業所単位・個人単位の抵触日管理派遣法第40条の2・第40条の3

派遣元管理台帳は2020〜2021年の改正後の最新で計18項目を記載し、派遣終了から3年間の保管が必要です(労働者派遣法施行規則第31条)。記載項目の抜けは更新審査や指導で指摘されやすいポイントです。

これらをExcelや紙で個別に管理すると、台帳の記載漏れ、抵触日の見落とし、教育訓練の記録不足といった「更新時に響く穴」が生まれやすくなります。派遣管理SaaS「派遣HUB」は、派遣契約管理・法定帳簿(派遣元管理台帳・派遣先管理台帳)・教育訓練記録・マージン率公開ページの自動生成・監査ログを一つのシステムでまとめて管理でき、3年ルールの抵触日やクーリング期間の判定も自動化します。

派遣HUBは従業員20〜100名規模の派遣会社向けに設計され、勤怠から給与・請求・帳簿・契約・コンプライアンス対応までをオールインワンで提供します。料金は月額¥2,980/名から(メール経由・初期費用無料)で、STAFF EXPRESS(月額¥25,000〜35,000)やORDIA(¥22,000/ユーザー/月)など既存サービスの約3分の1〜4分の1の価格帯です。許可更新に向けた記録管理を、専任部署がなくても回せる仕組みにできます。

許可制の本質は「事業遂行能力の継続的な担保」です。だからこそ、許可後の日々の記録管理をいかに省力化し、抜け漏れなく続けられるかが、更新をスムーズに通すうえで最も重要になります。

よくある質問

労働者派遣事業の許可はどこに申請しますか?

事業所を管轄する都道府県労働局を経由して、厚生労働大臣に許可を申請します。2015年改正以降は届出制が廃止され、すべての労働者派遣事業が許可制です(派遣法第5条)。申請書類や手数料は労働局の案内で確認してください。

許可の有効期間はどのくらいですか?

新規許可の有効期間は3年です。その後の更新では有効期間が5年になります(厚生労働省「許可・更新手続マニュアル」)。期間満了前に更新手続きを行わないと事業を継続できないため、満了の数か月前から準備を始めるのが安全です。

資産要件はいくら必要ですか?

執筆時点の目安は、事業所1か所あたり基準資産額2,000万円以上かつ負債総額の7分の1以上、現金預金額1,500万円以上です。ただし金額は見直される可能性があるため、申請前に必ず厚生労働省の最新の取扱要領・手続マニュアルで確認してください。

派遣元責任者になるには何が必要ですか?

派遣元責任者には、原則として「派遣元責任者講習」の受講と、成年到達後3年以上の雇用管理経験などが求められます(派遣法第36条)。受講証明書には有効期間があるため、申請時点で期限が切れていないか確認が必要です。中小では経営者が兼任するケースも多くあります。

許可を取った後に必要な管理は何ですか?

派遣元管理台帳(計18項目・3年保管)、教育訓練の記録、マージン率のインターネット公開、3年ルールの抵触日管理、個人情報の適正管理などを継続して行う必要があります。これらの整備状況は更新審査でも確認されるため、許可期間を通じて記録を残し続けることが重要です。

まとめ:許可は「取って終わり」ではなく「維持し続ける状態」

労働者派遣事業の許可は、財産的基礎(資産要件)・派遣元責任者の選任・キャリア形成支援制度・個人情報の適正管理という4要件を満たすことで取得でき、新規3年・更新後5年のサイクルで更新審査を受け続けます(派遣法第5条・第36条・第30条の2・第24条の3、厚生労働省「許可・更新手続マニュアル」)。資産要件の具体額や有効期間は最新の取扱要領で確認することが前提です。

最大のポイントは、許可が一度きりのハードルではなく、事業を続ける限り維持し続ける状態だということです。更新審査では直近決算の資産要件と、法定帳簿・教育訓練・マージン率公開などの記録の整備状況が問われます。だからこそ、許可後の日々の記録管理を省力化し、抜け漏れなく続けられる体制づくりが、更新を確実に通すための近道になります。

(出典: 厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」「労働者派遣事業の許可・更新手続マニュアル」、労働者派遣法第5条・第23条第5項・第24条の3・第30条の2・第36条・第37条・第40条の2・第40条の3、e-Gov法令検索)


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