派遣会社の障害者雇用率|派遣スタッフは派遣元にカウント・納付金申告の実務【2026年版】
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派遣会社の障害者雇用率|派遣スタッフは派遣元にカウント・納付金申告の実務【2026年版】

2026年8月7日23分で読める

派遣スタッフの障害者雇用率は、派遣先ではなく雇用主である派遣元(派遣会社)の分母・分子にカウントされます。2026年(令和8年)7月には民間企業の法定雇用率が2.5%から2.7%へ引き上げられ、雇用義務の対象も常用労働者37.5人以上の企業へ広がりました(厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」)。

登録型のスタッフを多く抱える派遣元は、1年を超える雇用見込みのあるスタッフが分母に入るため、雇用率が構造的に未達になりやすい業態です。未達のまま常用労働者100人超であれば、不足1人あたり月5万円の障害者雇用納付金が発生します。

本記事では派遣元の管理部門向けに、カウント原則から納付金申告の月次集計、台帳一元管理による効率化までを整理します。

結論: 派遣スタッフの障害者雇用率は派遣元にカウント(早見表)

障害者雇用率の算定は雇用関係で決まるため、派遣スタッフは分母(常用労働者数)・分子(雇用障害者数)とも雇用主である派遣元に算入されます。派遣先の雇用率には入りません。押さえるべき骨格は次の5点です。

項目内容
カウント先派遣元(雇用主)。分母・分子とも派遣先には算入されない
法定雇用率民間企業2.7%(2026年7月施行。2024年4月〜2026年6月は2.5%)
雇用義務の対象常用労働者37.5人以上の事業主(2026年7月から)
未達時の納付金常用労働者100人超の事業主が対象。不足1人あたり月額5万円
申告先・時期JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)へ原則毎年4月1日〜5月15日

出典: 厚生労働省リーフレット、JEED「障害者雇用納付金制度の概要」。

障害者雇用率のカウントは派遣元・派遣先どちらか

派遣スタッフの障害者雇用率は派遣元にカウントされることを示す図解
派遣スタッフの障害者雇用率は派遣元にカウントされることを示す図解

雇用関係で決まる算定の原則(分母・分子とも派遣元)

障害者雇用促進法第43条は、事業主に対し常用労働者数×法定雇用率(1人未満切り捨て)以上の障害者雇用を義務づけています(e-Gov法令検索)。この「事業主」は雇用契約の当事者のため、派遣スタッフは指揮命令を受ける派遣先ではなく、雇用契約を結ぶ派遣元の雇用率に算入されます。

障害のあるスタッフを派遣した場合も同じ原則です。派遣先が自社の雇用率に数えることはできず、派遣元の分子としてカウントされます。

登録型派遣スタッフが常用労働者に入る条件(1年超の雇用見込み)

分母となる常用労働者は、雇用期間の定めなく雇用されている労働者のほか、有期契約でも契約更新の反復により1年を超えて雇用されている、または雇入れから1年を超えて雇用が見込まれる労働者を含みます(JEED「障害者雇用納付金制度申告申請書記入説明書」)。

つまり登録型でも、3ヶ月契約の更新で1年を超える見込みがあれば常用労働者です。この判定の漏れは、納付金申告時の集計誤りに直結します。なお雇用保険の加入要件(週20時間以上・31日以上見込み)とは別の判定です。保険側の要件は「派遣スタッフの雇用保険・労災保険の加入手続き|適用要件と届出の実務【2026年版】」で整理しています。

短時間労働者の0.5カウントと週所定労働時間の扱い

常用労働者の判定フローと週所定労働時間別カウントの図解
常用労働者の判定フローと週所定労働時間別カウントの図解

週所定労働時間によるカウントは分母・分子共通で、次のとおりです。

週所定労働時間カウント
30時間以上1人
20時間以上30時間未満(短時間労働者)0.5人
20時間未満原則算入なし(例外あり)

例外として、週20時間以上30時間未満の精神障害者は当分の間1カウントとする特例があり、週10時間以上20時間未満の精神障害者・重度身体障害者・重度知的障害者は2024年4月から0.5カウントで算入できます(厚生労働省リーフレット)。派遣元では、スタッフごとの週所定労働時間の正確な記録がカウントの前提になります。

派遣会社が法定雇用率2.7%を達成しにくい構造的理由

登録スタッフも分母に入る派遣元固有の構造(JASSA要望の背景)

派遣元の雇用率の分母が稼働スタッフ全体に広がる構造の図解
派遣元の雇用率の分母が稼働スタッフ全体に広がる構造の図解

派遣元の分母は内勤社員だけでなく、1年超の雇用見込みがある稼働スタッフ全体です。稼働スタッフが数百名規模なら法定雇用障害者数もそれに比例します。一方、就業場所は派遣先の現場で、受け入れ環境を派遣元単独で整えにくい事情もあります。

この構造は業界共通の課題で、業界団体の日本人材派遣協会(JASSA)も厚生労働省へ「労働者派遣事業における障害者雇用に係る要望」を提出しています(同協会公表)。制度改正を待つのではなく、まず自社の分母・分子を月次で正確に把握することが現実的な第一歩です。

2026年7月施行の2.7%引き上げで何が変わったか

2026年7月から法定雇用率は2.5%→2.7%となり、雇用義務の対象事業主は常用労働者40.0人以上から37.5人以上に拡大しました(厚生労働省リーフレット)。毎年6月1日時点の障害者雇用状況報告(ロクイチ報告)は、2026年6月1日時点分までは2.5%で不足の有無が確認されます。

納付金の算定も年度途中で切り替わり、2026年度(令和8年度)分は2026年6月以前を2.5%、7月以降を2.7%で計算します(同リーフレットQ&A)。同一年度内に2つの率が混在するため、月ごとの集計を区分できる体制が必要です。

障害者雇用納付金の申告実務(未達時に派遣元がやること)

納付金の対象事業主と金額の確認(常用101人以上・未達1人あたり月5万円)

障害者雇用納付金は、常用労働者100人超(101人以上)の事業主が法定雇用率未達の場合に、不足する障害者数1人あたり月額5万円を納付する制度です(JEED「障害者雇用納付金制度の概要」)。仮に年間を通じて2人不足なら、2人×5万円×12ヶ月=年120万円の負担になります。

規模別のインパクトを、JEED公表の制度値(不足1人月5万円・対象100人超)に基づく自社試算で示します(常用労働者数が年度を通じて一定、雇用障害者0人と仮定)。

常用労働者数(換算)法定雇用障害者数(2.7%・切捨て)未達時納付金の年額目安
50名1人納付金対象外(100人以下)
150名4人240万円
300名8人480万円

出典: JEED公表の制度値に基づく自社試算。100人以下でも雇用義務自体はあるため、納付金がない=未達でよい、ではありません。

年度12ヶ月分の月次常用労働者数を集計する手順

障害者雇用納付金申告の年間スケジュールと月次集計の図解
障害者雇用納付金申告の年間スケジュールと月次集計の図解

納付金の申告では、年度の各月の常用労働者数と雇用障害者数を12ヶ月分合計して不足数を算出します。手順は次のとおりです。

  1. 各月の初日など基準日時点の在籍スタッフを抽出する
  2. スタッフごとに雇用契約期間・更新履歴から1年超の雇用見込みを判定する
  3. 週所定労働時間で1人/0.5人を区分して月別に合計する
  4. 雇用障害者数を同じ月次で集計し、法定雇用障害者数との差を出す

登録型は入離職と契約更新が頻繁なため、契約書・勤怠・台帳が別管理だと月次判定だけで膨大な突合作業になります。

申告期限・申告先(JEED)と調整金・報奨金の位置づけ

申告先はJEED(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)で、常用労働者100人超の事業主の申告期間は原則毎年4月1日〜5月15日です。2026年度分の申告は2027年4月1日〜5月17日とされています(厚生労働省リーフレット)。納付金が年100万円以上の場合は3回に分けた延納も可能です(JEED Q&A)。

逆に法定雇用率を超えて雇用している100人超の事業主には超過1人あたり月額2万9千円の調整金が、100人以下で一定数を超えて雇用する事業主には月額2万1千円の報奨金が支給されます(JEED、支給調整あり)。

スタッフ台帳の一元管理で雇用率算定・納付金集計を効率化する

雇用率算定・納付金申告・事業報告書で共通参照する台帳項目マッピング

スタッフ台帳の項目と3つの法定手続きの対応関係を示す図解
スタッフ台帳の項目と3つの法定手続きの対応関係を示す図解

雇用率算定・納付金申告・毎年6月期限の労働者派遣事業報告書は、いずれもスタッフ管理データの同じ項目を参照します。派遣HUBの帳票設計に基づく自社整理による対応関係は次のとおりです。

スタッフ管理項目雇用率算定納付金申告事業報告書
雇用契約期間・更新履歴参照参照参照
週所定労働時間参照参照参照
在籍状況(月次の入離職)参照参照参照
障害者手帳等の区分・程度参照参照

つまり台帳を1箇所で最新に保てば、3つの手続きの集計元が同時に整います。台帳整備の基本は「派遣元管理台帳の書き方と保管ルール|記載必須18項目と自動化の進め方【2026年版】」を、事業報告書側の集計は「労働者派遣事業報告書の書き方と提出期限|様式・記載項目【2026年版】」を参照してください。

Excel手作業と一元管理の集計ステップ比較

Excel運用では、月次集計のたびに契約書ファイル・勤怠データ・台帳の3系統を開き、スタッフごとの雇用見込みと週所定労働時間の突合が12ヶ月分発生します。契約更新のたびに転記が必要で、更新漏れがそのまま分母の数え間違いになります。

台帳を一元管理していれば、契約・勤怠・在籍のデータが同じスタッフレコードに紐づくため、月次の抽出と判定を同じ手順で繰り返すだけで済みます。集計の土台は、スタッフデータが1箇所で最新に保たれていることです。

派遣HUBはスタッフの契約期間・勤怠・台帳をひとつのデータベースで管理する設計のため、納付金申告や事業報告書の集計元データを整った状態で維持できます。

派遣会社の障害者雇用率に関するFAQ

派遣社員の障害者雇用率は派遣元と派遣先のどちらにカウントされますか?

雇用主である派遣元にカウントされます。分母(常用労働者数)・分子(雇用障害者数)とも派遣元の算定に入り、派遣先の雇用率には算入されません(障害者雇用促進法第43条の雇用義務は雇用契約の当事者に課されるため)。

登録型派遣のスタッフも常用労働者として雇用率の分母に含まれますか?

含まれる場合があります。有期契約でも、更新の反復により1年を超えて雇用されている、または1年を超える雇用が見込まれるスタッフは常用労働者です(JEED記入説明書)。週20時間未満のスタッフは原則算入されません。

障害者雇用納付金はいつまでに、どこに申告しますか?

JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)へ、年度終了後の原則4月1日〜5月15日に申告します。2026年度分は2027年4月1日〜5月17日が申告期間です(厚生労働省リーフレット)。

常用労働者100人以下の派遣会社にも納付金の支払い義務はありますか?

納付金の申告・納付義務はありません(JEED「障害者雇用納付金制度の概要」)。ただし常用労働者37.5人以上であれば雇用義務は課され、一定数を超えて雇用すれば報奨金(月額2万1千円)の申請対象になり得ます。

短時間で働く障害者スタッフは0.5人としてカウントされますか?

週所定労働時間20時間以上30時間未満なら0.5人カウントが原則です。ただし精神障害者は当分の間1カウントとする特例があり、週10時間以上20時間未満の精神障害者・重度身体障害者・重度知的障害者は0.5カウントで算入できます(厚生労働省リーフレット)。

まとめ: 常用労働者数の月次把握が納付金対応の土台

派遣スタッフの障害者雇用率は派遣元にカウントされ、1年超の雇用見込みがある登録型スタッフも分母に入ります。2026年7月の2.7%引き上げで義務量は増え、常用100人超で未達なら不足1人あたり月5万円の納付金が発生します。

対応の土台は、雇用契約期間・週所定労働時間・在籍状況を月次で把握できるスタッフ台帳です。納付金申告も事業報告書も同じデータを参照するため、台帳の一元管理がそのまま法定手続きの準備になります。

出典: 厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」、JEED「障害者雇用納付金制度の概要」「障害者雇用納付金制度Q&A」「障害者雇用納付金制度申告申請書記入説明書」、一般社団法人日本人材派遣協会「労働者派遣事業における障害者雇用に係る要望」、e-Gov法令検索。


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