
派遣の労働者死傷病報告|派遣元・派遣先の二重提出【2026年版】
派遣スタッフの労災で労働者死傷病報告が必要な場合は、派遣元と派遣先がそれぞれ報告し、事故情報と双方の記載内容を突合して控えを残します。雇用主である派遣元と現場を管理する派遣先では、把握しやすい情報と自社で確認すべき情報が異なります。事故の初動対応と報告書作成を分け、スタッフ、就業場所、発生状況、休業見込みを同じ事実にそろえることが重要です。
本記事は、労働安全衛生規則第97条と労働者派遣法第45条に基づく報告の連携に限定します。すべての負傷を同じ期限で直ちに報告するとは扱わず、死亡・休業の状況に応じて最新の提出要件を確認します。
労働者死傷病報告の二重提出と早見表

派遣元・派遣先がそれぞれ行う報告
労働安全衛生規則第97条は、労働者が労働災害等により死亡または休業した場合の報告を定めています。派遣スタッフについて報告が必要な場合、労働者派遣法第45条の安全衛生に関する適用の特例により、派遣元と派遣先がそれぞれの所轄労働基準監督署へ報告します。片方の提出をもう片方の提出で代用しません。
双方の報告先が同じ労働基準監督署とは限らないため、派遣元・派遣先がそれぞれ自社の所轄を確認します。相手方の提出先を推測で転記せず、各事業場の所在地と最新の公的案内に基づいて確認してください。
規則第97条第1項の報告事項は12号に分かれ、報告者が派遣先か派遣元かの別、派遣先事業場の情報、被災した労働者、休業見込期間、発生日時・場所・状況などを含みます。双方が同じ事故を扱っても、事業場情報や報告者は各主体の内容で作成し、共通する事故事実は一致させます。
事故発生から提出までの早見表
死亡または休業を伴う場合でも、規則第97条第1項と第2項では報告時期の扱いが異なります。休業日数が4日に満たない場合は、1月〜3月、4月〜6月、7月〜9月、10月〜12月の各期間について、各期間の最後の月の翌月末日までに報告する規定です。事故の重さを軽視せず、報告期限だけは該当条項に沿って切り分けます。
| 工程 | 派遣先の作業 | 派遣元の作業 | 共有項目 | 成果物 | 保存先 |
|---|---|---|---|---|---|
| 発生確認 | 現場の安全確保・事実確認 | スタッフの状況確認 | 発生日時・場所・状況 | 初動記録 | 各社の事故記録 |
| 報告要否確認 | 現場事実と休業状況を確認 | 雇用主として休業見込みを確認 | 死亡・休業の状況 | 要否・時期の判断記録 | 対象案件 |
| 書面作成 | 派遣先分を作成 | 派遣元分を作成 | 労働者・傷病・原因 | 双方の報告データ | 各社の作成記録 |
| 記載突合 | 現場項目を再確認 | 雇用情報を再確認 | 共通項目と差異 | 突合結果 | 対象案件 |
| 提出 | 派遣先の所轄へ提出 | 派遣元の所轄へ提出 | 提出日・提出者 | 各提出控え | 各社で保存 |
この早見表は、事故発生から双方の提出までを2本の流れで整理する独自編集フレームです。派遣先の報告書の写しを派遣元へ共有する工程は記載突合の実務例であり、それ自体を規則第97条が定める法定送付義務とは説明しません。
双方の役割と共有情報を分ける

派遣先が現場で確認・連絡する情報
派遣先は事故現場に近いため、発生日時、就業場所、作業内容、使用設備、発生状況、現場で取った措置を確認します。目撃者の説明や略図を含め、推測と確認済みの事実を分けて記録し、派遣元へ速やかに連絡します。再発防止の検討は報告書の提出だけで完了扱いにしません。
連絡時は、スタッフ氏名、派遣先事業場、案件、指揮命令者、事故発生時の作業を対応させます。派遣先管理台帳の就業情報と照合し、別拠点や同姓同名のスタッフを取り違えないようにします。派遣先分の報告を作成した後、その写しを派遣元へ共有する運用を決めると、共通項目を突合できます。
派遣元が雇用主として確認・提出する情報
派遣元は雇用主として、被災スタッフの本人情報、職種、経験期間、傷病名・部位、休業見込期間などを確認します。派遣先から受けた現場情報をそのまま確定せず、本人や医療機関から得た情報との整合を確認します。個人情報や傷病情報の共有範囲も必要な範囲に限定します。
派遣元分の報告には、自社の事業場情報と報告者情報を用い、派遣先分の控えと異なる箇所を誤りと決めつけません。報告主体によって異なる項目と、事故事実として一致すべき項目を分けます。派遣元管理台帳は就業記録として参照しつつ、死傷病報告の控えそのものと混同しないでください。
二重提出を連携する3ステップ

ステップ1 派遣先から事故情報を受領する
事故連絡を受けたら、スタッフID、派遣先、事業場、案件、発生日時、場所、作業、傷病、休業見込みを受付記録へ分けます。初報では未確定の情報を空欄または確認中として扱い、推測で補いません。連絡者、受付者、受付日時も残します。
例えば15時20分に初報を受け、16時に就業場所、翌日に休業見込みが確定した場合は、各項目の確認時点を別々に記録します。これは法定期限の例ではなく、情報が更新された順序を追うための仮想例です。報告要否と提出時期は、確定した死亡・休業状況に基づいて判断します。
ステップ2 双方の報告項目を突合して作成する
派遣先と派遣元はそれぞれ自社分を作成し、スタッフ、派遣先事業場、発生日時・場所、傷病、休業見込み、発生状況、原因を突合します。派遣先・派遣元の別、各事業場の情報、報告者など主体固有の項目は別値のまま確認します。差異があれば、どちらかを機械的に上書きせず、情報源へ戻ります。
突合結果は「一致」「主体固有」「要再確認」の3区分で記録すると、未解決項目を見分けられます。派遣先の報告書の写しを派遣元へ送る運用は、この確認を支える実務フローです。法令が派遣先へ写しの送付を直接命じているとは扱わず、双方の連絡方法と共有範囲を事前に決めます。
ステップ3 派遣元・派遣先が提出し控えを保存する
記載内容を確認したら、派遣元と派遣先がそれぞれの所轄労働基準監督署へ報告します。規則第97条は電子情報処理組織の使用を定めています。電子申請義務化の開始時期は、厚生労働省の最新案内と所轄署の案内で確認してください。
提出後は、各主体が提出日、提出者、提出先、受付結果、控えを保存します。相手方の提出完了は控えや連絡で確認し、自社の提出完了とは別の状態で記録します。差し戻しや補正があれば旧版を消さず、補正版と再提出日を追加してください。控えの保存期間は推測で固定せず、最新の公的案内と社内規程を確認します。
メール連携と案件単位管理を比較する

事故情報と提出控えが分かれる問題
事故の初報が電話、傷病情報がメール、報告控えが共有フォルダに分かれると、どの情報が最新か判断しにくくなります。派遣先の担当者だけが現場情報を持ち、派遣元の労務担当だけが休業情報を持つ状態では、双方の報告内容に差異が残ります。個人情報を必要以上の宛先へ転送する問題も生じます。
| 比較項目 | 電話・メール中心 | 案件単位の記録 |
|---|---|---|
| 初報 | 担当者の受信箱に残る | スタッフ・就業場所へ関連付け |
| 更新 | 新旧情報が混在 | 項目ごとに確認状態を保持 |
| 突合 | 控えを目視比較 | 共通・固有項目を区分 |
| 提出 | 相手方の完了が不明 | 双方の提出日を別々に記録 |
| 控え | 各フォルダに分散 | 保存先と版を案件へ記録 |
| 権限 | 転送先が増える | 閲覧対象を限定 |
案件単位管理でも、現場の救護、安全確保、関係者への連絡をシステム入力より後回しにしません。派遣スタッフの安全衛生管理で日常の連絡体制を整え、事故後の報告フローと接続します。
派遣HUBのスタッフ・派遣先・案件記録へ対応させる方法
派遣HUBでは、スタッフ、派遣先の拠点、案件、契約を関連付けて管理できます。カスタム項目に事故受付日時、発生場所、確認状態、双方の提出日、補正状態、控えの保存先を持たせ、監査ログで更新者と更新時点を追跡する管理例を作れます。法定様式の判定や提出を自動で行う機能としては説明しません。
アクセス権は、傷病情報を扱う担当者に限定し、通常の案件閲覧者全員へ公開しない設計にします。派遣スタッフの健康診断の記録や派遣会社の法定三帳簿とも目的を分けます。事故対応の記録、健康情報、台帳記載を一つの欄で代用しないことが重要です。
よくある質問

派遣スタッフの労働者死傷病報告は派遣元・派遣先の双方が提出しますか?
はい。派遣労働者について労働者死傷病報告が必要な場合、派遣法の安全衛生に関する適用の特例により、派遣元と派遣先がそれぞれ所轄の労働基準監督署へ提出します。
派遣元と派遣先は報告内容をどう連携しますか?
派遣先が事故の事実と派遣先分の報告書の写しを派遣元へ送り、派遣元は労働者、就業場所、発生状況などの共通項目を突合して派遣元分を提出し、双方が控えを保存します。
労働者死傷病報告の電子申請はいつから義務ですか?
本記事では電子申請を原則とする運用だけを扱い、義務化の開始時期は断定しません。提出時は厚生労働省の最新案内と所轄の労働基準監督署で確認します。
まとめ
派遣スタッフについて労働者死傷病報告が必要な場合、派遣元と派遣先はそれぞれの所轄労働基準監督署へ報告します。派遣先は現場事実、派遣元は雇用情報と休業状況を確認し、共通項目を突合してください。死亡・休業の状況により報告時期が異なるため、すべての負傷を同じ期限で扱いません。
事故情報、各主体の固有項目、提出日、控え、補正履歴を同じ案件へ関連付ければ、二重提出の進捗を分けて追跡できます。派遣先分の写しを派遣元へ共有する方法は実務上の照合フローとして位置づけ、法定の送付義務とは区別しましょう。
出典: e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(第97条)、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(第45条)。
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