派遣先管理台帳の記載事項と書き方|派遣元が受領・突合する実務【2026年版】
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派遣先管理台帳の記載事項と書き方|派遣元が受領・突合する実務【2026年版】

2026年7月23日27分で読める

派遣先管理台帳は、派遣先(受け入れ企業)が労働者派遣法第42条に基づいて派遣労働者ごとに作成する法定帳簿であり、派遣元にとっては「自社で作る帳簿」ではなく「派遣先から就業実績の通知を受け取って、自社の派遣元管理台帳と突合する対象」です。作成義務そのものは派遣先にありますが、受領と照合の起点は派遣元にあります。

「派遣先が作る書類だから自社には関係ない」と考えていると、月次の通知内容と自社の就業実績・請求・抵触日管理がずれたときに気づけません。派遣先管理台帳の記載事項を知っておくことは、受領した通知を正しく突合するための前提知識になります。

本記事では、派遣先管理台帳の記載事項と書き方を早見表で整理し、派遣元管理台帳(第37条)との違い、派遣先から派遣元への月1回以上の通知義務、受領後の突合と脱Excel自動化までを、派遣元の実務目線で解説します。

結論:派遣先管理台帳の記載事項早見表と派遣元の関わり方

派遣先管理台帳は派遣先が作成する法定帳簿ですが、記載事項の一部は派遣元へ通知されるため、派遣元は「受け取って突合する側」として全体像を把握しておく必要があります。要点を先に早見表で示します。

派遣先管理台帳の作成主体・保存期間・通知・派遣元の役割をまとめた早見表
派遣先管理台帳の作成主体・保存期間・通知・派遣元の役割をまとめた早見表
論点内容
作成主体派遣先(受け入れ企業)が事業所ごとに作成
根拠労働者派遣法第42条・同施行規則第35〜38条
作成単位派遣労働者ごと
保存期間派遣終了の日から起算して3年
派遣元への通知月1回以上・一定の期日を定めて通知
派遣元の役割通知を受領し、就業実績・請求・派遣元管理台帳と突合

派遣元の実務では、このうち「派遣元への通知」と「突合」が業務の中心になります。以降で記載事項・通知項目・突合の順に掘り下げます。

派遣先管理台帳とは(派遣法42条の根拠と派遣元管理台帳との違い)

派遣先管理台帳と派遣元管理台帳は名前が似ていますが、作成する主体も通知の向きも異なります。まず定義と作成主体を押さえ、次に37条台帳との対応表で違いを整理します。

派遣先管理台帳の定義と作成主体(派遣先が作成する法定帳簿)

派遣先管理台帳は、労働者派遣法第42条に基づき、派遣先が派遣就業に関する事項を派遣労働者ごとに記録する法定帳簿です。作成義務を負うのは派遣先であり、派遣元が作成するものではありません。

派遣先は事業所その他派遣就業の場所ごとに台帳を作成します。ただし施行規則により、派遣就業の場所ごとの派遣労働者数と、その場所で派遣先が雇用する労働者数の合計が5人を超えないときは、作成を要しないとされています。派遣元としては、規模の小さい派遣先では台帳が作成されない場合がある点も理解しておくと通知のやり取りで齟齬が生じにくくなります。

派遣元管理台帳(37条)との対応表:作成主体・記載事項・通知方向の違い

派遣元管理台帳は労働者派遣法第37条に基づき派遣元が作成する台帳で、派遣先管理台帳(第42条)とは対になる関係です。両者の違いを対応表で示します。

派遣先管理台帳と派遣元管理台帳の根拠条文・作成主体・通知方向を比較した対応表
派遣先管理台帳と派遣元管理台帳の根拠条文・作成主体・通知方向を比較した対応表
比較項目派遣先管理台帳派遣元管理台帳
根拠条文労働者派遣法第42条労働者派遣法第37条
作成主体派遣先派遣元
記載事項厚労省モデル様式で17項目施行規則第31条ベースで18項目
通知の向き派遣先が派遣元へ通知派遣元が保有・記録
保存期間派遣終了の日から3年派遣終了の日から3年

18項目の派遣元管理台帳の書き方は別記事で詳しく解説しています。派遣元自身が作成する台帳の記載項目は派遣元管理台帳の書き方と保管ルール(18項目)を参照してください。

派遣先管理台帳の記載事項と書き方

派遣先管理台帳の記載事項は労働者派遣法施行規則第36条で定められています。派遣元が受領・突合する立場でも、通知される項目がどの記録に対応するかを知るために全体像が役立ちます。

記載事項の一覧(施行規則第36条ベース・書き方の要点)

厚生労働省のモデル様式(様式10)では、派遣先管理台帳の記載事項は次の17項目で構成されています。派遣労働者ごとに記載する点が書き方の基本です。

派遣先管理台帳の記載事項17項目を番号順にまとめた一覧表
派遣先管理台帳の記載事項17項目を番号順にまとめた一覧表
#記載事項
1派遣労働者の氏名
2派遣元事業主の氏名又は名称
3派遣元事業主の事業所の名称
4派遣元事業主の事業所の所在地
5協定対象派遣労働者か否かの別
6無期雇用労働者か有期雇用労働者かの別
7派遣就業した日
8派遣就業した日ごとの始業・終業の時刻、休憩時間
9従事した業務の種類
10従事する業務に伴う責任の程度
11就業した事業所の名称・所在地・就業場所・組織単位
12苦情の処理に関する事項
13紹介予定派遣に関する事項
14教育訓練を行った日時及び内容
15派遣先責任者及び派遣元責任者に関する事項
16期間制限のない労働者派遣に関する事項
17社会保険・雇用保険の資格取得届の提出の有無

書き方の要点は、派遣就業した日ごとの始業・終業時刻と休憩時間を実績として残すこと、業務の種類と責任の程度を派遣元・派遣先で共通認識が持てる粒度で書くことです。

2020年改正で押さえる項目(協定対象派遣労働者の別・責任の程度)

同一労働同一賃金への対応を背景に、記載事項には「協定対象派遣労働者か否かの別」と「従事する業務に伴う責任の程度」が加わりました。前者は労使協定方式か派遣先均等・均衡方式かに直結し、後者は待遇の均等・均衡を判断する材料になります。

派遣元が待遇決定方式ごとに記録を分けている場合、通知に含まれる協定対象の別が自社の管理区分と一致しているかを確認するとよいでしょう。待遇の考え方は派遣の同一労働同一賃金(労使協定方式)対応ガイドで整理しています。

派遣先から派遣元への通知義務(法42条3項・施行規則第38条)

派遣先管理台帳のうち一部の項目は、派遣先から派遣元へ定期的に通知する義務があります。派遣元にとっては、この通知が就業実績を確定させる一次情報になります。

通知が必要な項目と頻度(月1回以上・一定の期日)

労働者派遣法第42条第3項および施行規則第38条により、派遣先は1か月ごとに1回以上、一定の期日を定めて、派遣労働者ごとに定められた項目を派遣元へ通知しなければなりません。通知される主な項目は次のとおりです。

派遣先から派遣元へ月1回以上通知される項目と頻度・方法を示した図
派遣先から派遣元へ月1回以上通知される項目と頻度・方法を示した図
通知される項目内容
派遣労働者の氏名対象スタッフの特定
派遣就業した日稼働日の実績
始業・終業の時刻、休憩時間労働時間の実績
従事した業務の種類実際に従事した業務
責任の程度役職・権限の範囲
就業場所・組織単位就業した事業所・組織単位

これらは派遣先管理台帳の記載事項のうち、就業実態にあたる部分です。なお、派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項は、この月次の定期通知とは別に、申出を受けた都度、遅滞なく派遣元へ通知することとされています。

通知方法(書面・電磁的記録)と派遣元が受領後にやること

通知の方法は、書面の交付、ファクシミリ、または電子メールによることとされています。派遣元は受領した通知を、就業実績・給与計算・派遣先への請求、そして自社の派遣元管理台帳へ反映していきます。

受領後にやることは、(1)通知内容と自社の勤怠・契約データの照合、(2)差異があれば派遣先への確認、(3)請求・給与への反映、(4)派遣元管理台帳・個人別記録への記録、の4段階です。派遣先が複数あるほど、この受領と突合の件数が積み上がります。

派遣元が受領台帳を突合する実務と脱Excel自動化

派遣先管理台帳の通知は派遣先ごとに様式も期日もばらつきます。派遣元がこれを人手で突合すると、就業実績・請求・自社台帳の三者がずれやすくなります。

受領・突合でつまずく典型(就業実績・請求・派遣元管理台帳のズレ)

つまずきの典型は、派遣先ごとにExcelや紙で届く通知を、担当者が自社の勤怠データと目視照合している状態です。次の表は、両台帳で重複入力が発生しやすい共通項目と、派遣元が受領後に突合キーとして使える項目を整理した自社見解です。

派遣先管理台帳と派遣元管理台帳で重複する共通項目と突合キーを整理した独自データ表
派遣先管理台帳と派遣元管理台帳で重複する共通項目と突合キーを整理した独自データ表
項目両台帳での位置づけ派遣元での使い方
派遣労働者の氏名両台帳に記載突合キー
派遣就業した日両台帳に記載就業実績の突合キー
始業・終業・休憩両台帳に記載給与・請求の照合
業務の種類・組織単位両台帳に記載契約・抵触日の照合
協定対象の別両台帳に記載待遇区分の照合

出所:労働者派遣法第42条・第37条の記載事項を基に、派遣HUBの3帳簿一元設計で自社整理。氏名・就業日・就業時間・業務・組織単位・協定対象の別が両台帳に重複して現れるため、別々に手入力すると転記ミスと不整合が起こりやすくなります。脱Excelの考え方は中小派遣会社が派遣管理を脱Excel化する完全ガイドで解説しています。

派遣HUBによる受領・突合・請求/マージン率連携の自動化

派遣HUB(派遣元向けの業務管理SaaS)は、派遣先から受領した就業実績を派遣元管理台帳・給与・請求と同じデータで扱い、突合を自動化します。派遣先5社・スタッフ50名規模を想定した自社設計値では、月次の受領・照合にかかる確認作業を、手作業運用の半分程度まで圧縮する余地があります(数値は自社設計値・レンジ運用)。

派遣HUBは、受領した就業実績を突合キー(氏名・就業日・業務)で自動照合し、差異のある行だけを担当者に提示します。突合後の実績はそのまま派遣先別の請求・マージン率の算定へ連携できます。

抵触日の起点になる就業実績を正しく突合できると、期間制限の管理精度も上がります。抵触日の自動管理は派遣の3年ルール・抵触日を手作業で管理するリスクと自動化の方法を参照してください。

よくある質問

派遣先管理台帳は派遣先と派遣元のどちらが作成しますか?

派遣先管理台帳は派遣先(受け入れ企業)が作成します(労働者派遣法第42条)。派遣元が作成するのは派遣元管理台帳(第37条)で、両者は別の帳簿です。派遣元は派遣先管理台帳そのものを作るのではなく、記載事項の一部を通知として受け取る立場です。

派遣先管理台帳の記載事項は何項目ありますか?

厚生労働省のモデル様式(様式10)では17項目で構成されます(施行規則第36条)。氏名や派遣元事業主の情報のほか、協定対象派遣労働者の別、就業日、始業・終業時刻、業務の種類、責任の程度、組織単位、苦情処理、教育訓練などが含まれます。

派遣先管理台帳の派遣元への通知は誰がいつ、どの項目を行いますか?

派遣先が、1か月ごとに1回以上、一定の期日を定めて派遣元へ通知します(労働者派遣法第42条第3項・施行規則第38条)。月次の通知項目は氏名・派遣就業した日・始業終業時刻と休憩時間・業務の種類・責任の程度・就業場所と組織単位が中心です。苦情の処理に関する事項は、この月次通知とは別に、申出を受けた都度、遅滞なく通知します。

派遣先管理台帳と派遣元管理台帳(37条)は何が違いますか?

作成主体と通知の向きが違います。派遣先管理台帳は派遣先が作り、記載事項の一部を派遣元へ通知します。派遣元管理台帳は派遣元が自社で作成・保管する帳簿です。記載事項には重複が多く、氏名・就業日・就業時間・業務・組織単位などが両方に現れます。

派遣先管理台帳の保管期間は何年で、いつから起算しますか?

保管期間は3年で、起算日は労働者派遣が終了した日です(労働者派遣法第42条第2項・施行規則第37条)。契約を更新した場合は、更新後の派遣が終了した日を起点に3年間保存します。

派遣先から通知を受けた派遣元は何をすればよいですか?

受領した通知内容を自社の勤怠・契約データと照合し、差異があれば派遣先へ確認します。その上で給与計算・派遣先への請求へ反映し、派遣元管理台帳・個人別記録へ記録します。通知は就業実績を確定させる一次情報になるため、受領のたびに突合する運用が基本です。

派遣先管理台帳は電子化・システムで管理できますか?

電子化・システム管理が可能です。必要な記載事項を満たし、保存期間中に内容を確認・出力できる状態であれば、電子データでの作成・保存が認められます。通知も書面のほか、ファクシミリや電子メールで行えます。

まとめ:派遣先管理台帳は『派遣元が受け取って突合する』前提で設計する

派遣先管理台帳は派遣先が作成する法定帳簿ですが、派遣元にとっての実務は「受領して突合する」ことに集約されます。記載事項17項目のうち就業実績にあたる項目が月1回以上通知され、それが派遣元の就業実績・請求・抵触日管理の一次情報になります。

派遣先が増えるほど通知の受領・照合は積み上がるため、氏名・就業日・業務などの突合キーを軸に、派遣元管理台帳・給与・請求まで同じデータでつなぐ設計が有効です。法定帳簿は「作っている」だけでなく「受け取った実績と整合している」状態を目標にしましょう。

出典:労働者派遣法第42条、同施行規則第35〜38条、労働者派遣法第37条・同施行規則第31条、厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」、都道府県労働局 派遣先管理台帳モデル様式(様式10)。


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