
紹介予定派遣を扱う派遣会社の実務対応|許可・6か月・採用可否の理由明示【2026年版】
紹介予定派遣を扱う派遣会社が通常派遣に追加で対応すべきは、(1)有料職業紹介事業の許可を含む二重許可、(2)同一の派遣労働者につき6か月以内という派遣期間の上限、(3)事前面接や履歴書送付といった特定行為の例外、(4)派遣先が採用しなかった場合などの理由明示、の4点です。紹介予定派遣は「労働者派遣」と「職業紹介」を組み合わせた仕組みで、派遣で働いてもらいながら双方が見極め、派遣期間の終了後に派遣先が直接雇用することを予定して行います(労働者派遣法第2条第4号)。
通常派遣と同じ感覚で運用すると、許可の不足・期間管理の漏れ・理由明示の未対応といった行政指導の対象になりかねません。本記事では、労働者派遣法・職業安定法・厚生労働省の指針を根拠に、派遣元が紹介予定派遣で追加対応すべき実務を、通常派遣との差分表と管理項目のチェックリストで整理します。
結論:紹介予定派遣で派遣元が追加対応するのは『二重許可・6か月上限・特定行為の例外・採用可否の理由明示』の4点
紹介予定派遣は通常派遣の延長ではなく、職業紹介が加わる別の運用です。派遣元が通常派遣に追加して対応する点を、7つの観点で対比すると次のとおりです。
| 観点 | 通常派遣 | 紹介予定派遣 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 必要な許可 | 労働者派遣事業の許可 | 労働者派遣事業+有料職業紹介事業の二重許可 | 派遣法第5条/職業安定法第30条 |
| 選任する責任者 | 派遣元責任者 | 派遣元責任者+職業紹介責任者 | 派遣法第36条/職業安定法第32条の14 |
| 事前面接・履歴書送付 | 特定行為を避ける努力義務(原則不可) | 例外として実施できる | 派遣法第26条第6項 |
| 派遣期間の上限 | 事業所単位・個人単位で原則3年 | 同一の派遣労働者につき6か月以内 | 派遣先が講ずべき措置に関する指針 |
| 個別派遣契約の記載 | 派遣法第26条の記載事項 | 上記に紹介予定派遣に関する事項を追加 | 派遣法第26条第1項 |
| 採用可否理由の明示 | 定めなし | 求めに応じ書面・FAX・電子メール等で明示 | 派遣元/派遣先が講ずべき措置に関する指針 |
| 手数料の構造 | 派遣料金 | 派遣料金+直接雇用成立時の職業紹介手数料 | 職業安定法(手数料) |
出典:労働者派遣法・職業安定法・厚生労働省「派遣元/派遣先が講ずべき措置に関する指針」を基に自社整理。

紹介予定派遣とは、労働者派遣の終了後に派遣先が派遣労働者を直接雇用することを予定して、労働者派遣とあわせて職業紹介を行う(または行うことを予定する)ものをいいます(労働者派遣法第2条第4号)。派遣期間は双方の見極め期間であり、直接雇用は義務ではありません。
紹介予定派遣とは(定義と通常派遣との違い)
紹介予定派遣の定義(労働者派遣法2条4号)
紹介予定派遣は、労働者派遣法第2条第4号に定義された派遣形態です。許可を受けた派遣元が、労働者派遣の開始前または開始後に派遣労働者と派遣先へ職業紹介を行い(または行うことを予定し)、その職業紹介によって派遣労働者が派遣先に雇用されることを、派遣の役務提供が終了する前に両者の間で約束するものを指します。
つまり「派遣」と「職業紹介」がセットになった仕組みで、派遣期間はそのまま直接雇用に向けた相互確認の期間になります。直接雇用が成立するかどうかは派遣先と派遣労働者の合意次第で、必ず採用されるわけではありません。この「派遣+職業紹介」の二本立てが、通常派遣との根本的な違いです。
通常派遣との実務上の違い(特定行為・期間・出口の3点)
通常派遣との違いは、特定行為・派遣期間・出口の3点に集約されます。第一に、通常派遣では派遣先が派遣労働者を特定する行為(事前面接・履歴書送付)を避ける努力義務がありますが、紹介予定派遣ではこれが例外的に認められます(派遣法第26条第6項)。
第二に、派遣期間は同一の派遣労働者について6か月が上限です。第三に、出口が直接雇用であり、成立時には職業紹介として手数料が発生します。この3点が、通常派遣にはない派遣元の追加対応を生みます。派遣期間中の勤怠や契約は通常派遣と同様に管理するため、既存の運用に固有対応を上乗せする形になります。

派遣元が満たすべき許可と社内体制
労働者派遣事業+有料職業紹介事業の二重許可(職業安定法30条)
紹介予定派遣を行うには、労働者派遣事業の許可に加えて、有料職業紹介事業の許可が必要です(職業安定法第30条)。派遣期間の終了時に派遣先へ職業紹介を行うため、職業紹介の許可がないと紹介予定派遣そのものを実施できません。
すでに労働者派遣事業を営んでいても、有料職業紹介事業の許可を別途取得していなければ紹介予定派遣は扱えない点に注意が必要です。許可の要件・更新は「労働者派遣事業の許可要件と更新手続き」で整理しています。
派遣元責任者・職業紹介責任者の選任(それぞれの選任と専属要件)
二重許可に対応して、責任者も二つの制度で選任します。労働者派遣事業では派遣元責任者(派遣法第36条)、有料職業紹介事業では職業紹介責任者(職業安定法第32条の14)の選任が必要です。派遣元責任者は他の事業所の派遣元責任者と兼任できない専属が求められ、いずれの責任者も職務を確実に果たせる体制が前提になります。
一人が両方の責任者を担うかどうかは、それぞれの選任要件(責任者講習の受講など)を満たし、両方の職務を遂行できるかで判断します。明確に兼務を禁じる単一の規定があるわけではありませんが、二つの事業の責任が別々に生じる点を踏まえ、選任の体制を事前に整理しておくことが実務では欠かせません。責任者の記録義務は「派遣元責任者・派遣先責任者の選任と記録義務」を参照してください。

紹介予定派遣の実務フロー(募集〜派遣〜職業紹介〜採用可否)
募集内容の明示と事前面接・履歴書送付(特定行為の例外=26条6項)
募集の段階で、紹介予定派遣である旨を明示します。紹介予定派遣では、通常派遣で制限される特定行為(派遣就業開始前の面接、履歴書の送付、求人条件の明示、採用内定など)が例外として認められます(派遣法第26条第6項)。
派遣先が事前に人物を確認できる点が紹介予定派遣の特徴ですが、これは直接雇用を予定する紹介予定派遣に限った取扱いです。通常派遣で同じことを行うと特定目的行為の問題になるため、案件ごとに紹介予定派遣か通常派遣かを明確に区別して運用します。個別派遣契約書には、通常の記載事項(派遣法第26条第1項)に加えて紹介予定派遣に関する事項を記載します。契約の電子化は「労働者派遣契約書を電子化する完全ガイド」で解説しています。
6か月以内の派遣期間の管理(見極め期間)
同一の派遣労働者を紹介予定派遣として受け入れられる派遣期間は、6か月が上限です(派遣先が講ずべき措置に関する指針)。この期間は直接雇用に向けた相互の見極め期間で、6か月を超えて紹介予定派遣を続けることはできません。
派遣元は派遣開始日から6か月の期限を管理し、期間内に採用可否の判断と職業紹介の実施につなげる必要があります。期限を見落とすと、上限超過や、直接雇用の判断が遅れて派遣期間が空転するといった事故につながります。案件ごとに開始日と6か月後の期日を確実に把握しておくことが、紹介予定派遣の期間管理の要になります。
採用可否の通知と理由の書面・FAX・電子メール明示
派遣期間の終了時、派遣先が直接雇用しない場合や、派遣元が職業紹介を行わない場合には、派遣労働者の求めに応じて、その理由を明示します。派遣元は派遣先に理由の明示を求め、派遣先から示された理由を派遣労働者へ、書面・ファクシミリ・電子メール等で明示します(派遣元/派遣先が講ずべき措置に関する指針)。
理由明示の記録を残しておくことが、後日のトラブルや行政の確認に備えるうえで重要です。口頭のやり取りだけで済ませると、いつ・どのような理由を伝えたかが後から確認できず、対応の適正を説明できません。採用可否の通知と理由明示は、書面等の記録とセットで運用します。

派遣HUBで紹介予定派遣の管理を漏れなく回す(追加管理項目のチェックリストと機能マッピング)
紹介予定派遣で派遣元が通常派遣に追加して管理する項目と、その担保方法を整理すると次のとおりです。いずれも通常派遣にはない固有対応で、手作業では見落としが起きやすい部分です。
| 追加管理項目 | 通常派遣にない理由 | 派遣HUBでの担保(自社設計値) |
|---|---|---|
| 6か月上限のアラート | 6か月超で指針違反になる | 派遣開始日から6か月の期日をカウントし通知 |
| 採用可否理由の明示記録 | 求めに応じ書面等で明示・記録保持が必要 | 明示書面の作成と履歴の保存 |
| 個別契約への紹介予定派遣事項の反映 | 26条の記載事項に追加が必要 | 契約テンプレートへ紹介予定派遣項目を反映 |
| 職業紹介への切替と手数料計上 | 直接雇用成立時に紹介手数料が発生 | 派遣から職業紹介への切替と手数料の計上 |
| 二重許可・責任者の管理 | 許可番号・責任者を2事業分管理する | 許可番号と責任者情報を一元管理 |
出典:派遣HUBの機能仕様を基に自社整理(自社設計値・案件特性により運用は変動)。

派遣HUBは、通常派遣の勤怠・給与・請求・派遣元管理台帳を一元管理しながら、紹介予定派遣の6か月期限・理由明示の記録・契約反映を同じデータの上で回せます。台帳運用の全体像は「派遣元管理台帳の書き方と保管ルール」も参考になります。派遣HUBは月額¥2,980/名(税込)から、初期費用¥30,000(税込)で導入できます。
よくある質問
紹介予定派遣とは何ですか?通常の派遣と何が違いますか?
紹介予定派遣は、派遣期間の終了後に派遣先が直接雇用することを予定して、労働者派遣とあわせて職業紹介を行う仕組みです(労働者派遣法第2条第4号)。通常派遣と違い、事前面接や履歴書送付が例外的に認められ、派遣期間の上限が6か月で、出口が直接雇用になる点が異なります。
紹介予定派遣を行うには派遣の許可のほかに何が必要ですか?
労働者派遣事業の許可に加えて、有料職業紹介事業の許可が必要です(職業安定法第30条)。派遣期間の終了時に職業紹介を行うため、職業紹介の許可がないと紹介予定派遣は実施できません。あわせて職業紹介責任者の選任も必要です。
紹介予定派遣の派遣期間に上限はありますか?
同一の派遣労働者を紹介予定派遣として受け入れられる派遣期間は、6か月が上限です(派遣先が講ずべき措置に関する指針)。6か月を超えて紹介予定派遣を継続することはできず、期間内に採用可否の判断と職業紹介につなげます。
派遣先が事前面接や履歴書の送付を求めることはできますか?
紹介予定派遣では、通常派遣で制限される事前面接や履歴書の送付が例外として認められます(派遣法第26条第6項)。ただしこれは紹介予定派遣に限った取扱いで、通常派遣で行うと特定目的行為の問題になります。
派遣先が採用しなかった場合、派遣元は理由を確認できますか?
派遣先が直接雇用しない場合、派遣労働者の求めに応じて理由を明示する必要があります。派遣元は派遣先に理由の明示を求め、示された理由を派遣労働者へ書面・FAX・電子メール等で明示します(派遣元/派遣先が講ずべき措置に関する指針)。
派遣元責任者は職業紹介責任者を兼務できますか?
明確に兼務を禁じる単一の規定はありませんが、派遣元責任者(派遣法第36条)と職業紹介責任者(職業安定法第32条の14)はそれぞれ選任要件があり、派遣元責任者には専属の要件もあります。一人が両方を担う場合は、双方の要件を満たし職務を遂行できるかを事前に確認します。
まとめ:紹介予定派遣は『派遣+職業紹介』の二本立て、派遣元固有の管理を仕組みで漏れなく
紹介予定派遣は通常派遣の延長ではなく、職業紹介が加わる二本立ての運用です。派遣元が追加で対応するのは、有料職業紹介事業を含む二重許可、6か月以内の派遣期間、事前面接など特定行為の例外、採用可否の理由明示の4点でした。
これらは通常派遣にはない固有の管理で、期限や記録を手作業で追うと見落としが起きやすい部分です。許可・責任者・契約・期限・理由明示を1つのデータの上で回すことが、紹介予定派遣を漏れなく運用する近道になります。
出典:労働者派遣法第2条第4号・第5条・第26条・第36条、職業安定法第30条・第32条の14、厚生労働省「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」「派遣先が講ずべき措置に関する指針」、厚生労働省・都道府県労働局リーフレット「派遣先の皆様へ(紹介予定派遣)」
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