
労働者派遣事業の許可更新完全ガイド|派遣元の期限逆算・必要書類・資産要件割れ対応【2026年版】
労働者派遣事業の許可更新は、有効期間満了日の3ヶ月前までに更新申請書と添付書類を管轄の都道府県労働局へ提出して行い、直近決算で資産要件を割った場合も月次決算+公認会計士による合意された手続(AUP)で再充足を示せば更新は可能です。
提出期限の超過は認められないため、満了日からの逆算でいつ何を準備するかを決めることが更新実務の出発点になります。
本記事では派遣元の経営者・管理部門に向けて、逆算スケジュール・更新書類・資産要件割れの対処・審査で確認される運営記録を一次資料ベースで整理します。
結論: 労働者派遣事業の許可更新の期限・書類・資産要件対処の早見表
許可更新とは、有効期間の満了後も引き続き労働者派遣事業を行うために受ける法定手続きです。新規許可の有効期間は3年、更新後は満了日の翌日から起算して5年で、以後も5年ごとに更新します(出典: 労働者派遣法第10条第1項・第4項)。更新時も新規許可と同じ許可基準(同法第7条第1項)への適合が審査されるため、一度取れば形式的に通る手続きではありません。
| 時期・場面 | やること |
|---|---|
| 満了6ヶ月前 | 帳簿・運営記録の社内点検を開始(推奨目安) |
| 満了数ヶ月前 | 労働局から更新案内が届く例が多い(時期・有無は労働局により異なる) |
| 満了3ヶ月前 | 更新申請の提出期限。申請日の超過は認められない |
| 申請時 | 手数料として収入印紙5万5,000円×事業所数を貼付 |
| 資産要件割れ | 中間・月次決算+監査証明またはAUPで再充足を申し立て |
| 小規模派遣元 | 暫定的な配慮措置あり(基準資産1,000万円・現預金800万円。適用条件あり) |
出典: 厚生労働省「派遣事業開始以後の手続等」、兵庫労働局「労働者派遣事業 許可有効期間更新申請必要書類等」。

更新の前提となる許可要件そのもの(資産・派遣元責任者・キャリア形成支援・個人情報管理)の詳細は労働者派遣事業の許可要件と更新手続きに委ね、本記事は更新イベントの実務に絞ります。
許可更新の逆算スケジュール(満了6ヶ月前から更新許可まで)

労働局からの更新通知と提出期限(満了3ヶ月前)の逆算カレンダー
労働局から更新手続きの案内が郵送される例が多いものの、時期や有無は労働局により異なります。案内が届かなくても期限は変わらないため、満了日は自社で管理するのが前提です。
| 時期 | 実務アクション |
|---|---|
| 満了6ヶ月前 | 満了日と提出期限を確認。台帳・教育訓練記録・事業報告書の提出履歴の点検開始 |
| 満了4〜5ヶ月前 | 納税証明書・登記事項証明書などの収集。未届の変更事項があれば変更届を先に提出 |
| 満了3ヶ月前 | 提出期限。事業主管轄労働局へ更新申請書一式を提出 |
| 提出後〜満了日 | 労働局の審査・補正対応。満了日の翌日から新しい有効期間5年が開始 |
未届の変更事項や未提出の事業報告書がある場合は、更新申請の前にそれらの手続きを済ませる必要があります(出典: 兵庫労働局)。
満了半年前から始める帳簿・運営記録の整備
更新審査では、許可期間中にキャリア形成支援制度や雇用安定措置が基準どおり実施されていたかが確認され、指導しても是正されない義務違反があれば許可は更新されません(出典: 厚生労働省「派遣事業開始以後の手続等」)。書類の収集自体は1〜2ヶ月で足りますが、教育訓練の実施記録や台帳の記載漏れは満了直前に遡って作れないため、点検開始は満了6ヶ月前が現実的な目安です。教育訓練の記録要件は派遣スタッフの教育訓練・キャリア形成支援の義務と記録を参照してください。
更新申請の必要書類一覧(新規申請との差分で整理)

更新申請書と添付書類の一覧
必要書類は次の4グループに整理できます(兵庫労働局の法人向け案内より。様式名・部数は管轄労働局で異なる場合があるため最新案内で確認してください)。
| グループ | 主な書類 |
|---|---|
| 申請書・計画書 | 許可有効期間更新申請書(様式第1号)、労働者派遣事業計画書(様式第3号)、キャリア形成支援制度に関する計画書(様式第3号-2)、自己チェックシート |
| 財務・税務 | 直近事業年度の貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書、法人税確定申告書(別表1・別表4)の写し、納税証明書(その2) |
| 体制 | 派遣元責任者講習受講証明書の写し(受講日が満了日前3年以内のもの) |
| 変更がなければ提出不要 | 定款、登記事項証明書、個人情報適正管理規程、就業規則の該当箇所の写しなど |
手数料は収入印紙5万5,000円×労働者派遣事業所数です(出典: 厚生労働省「派遣事業開始以後の手続等」)。
新規申請時から省略・簡略化される書類の差分
手続きと要件は新規許可とほぼ同様ですが、更新では既に労働局へ提出済みで変更がない書類の提出を省略できます(出典: 厚生労働省「派遣事業開始以後の手続等」、兵庫労働局)。登録免許税も更新では課されず、法定費用は上記の手数料のみです。一方で審査基準は新規と同一のため(労働者派遣法第10条第3項)、書類が減ることと審査が軽いことは別物です。
資産要件を満たせない場合の対処: 月次決算とAUP(合意された手続)

更新時の資産要件と直近決算での判定
判定は原則として直近事業年度の決算書で行われ、次の3つをすべて満たす必要があります(出典: 大阪労働局「労働者派遣事業許可及び更新申請に必要な資産要件」)。
| 要件 | 基準 |
|---|---|
| 基準資産額 | 資産総額(繰延資産・営業権を除く)−負債総額が2,000万円×事業所数以上 |
| 負債比率 | 基準資産額が負債総額の7分の1以上 |
| 現金・預金 | 自己名義の現金・預金が1,500万円×事業所数以上 |
賞与支給や大型投資の直後に決算月を迎えると現預金要件を割りやすく、満了前決算のキャッシュ計画も更新準備の一部です。
月次決算+公認会計士のAUP(合意された手続)による再充足
直近決算で要件を割っても直ちに更新不可にはなりません。中間決算または月次決算で3要件の充足を示し、公認会計士または監査法人の監査証明、もしくはAUPの実施結果報告書を添えて申し立てる方法が認められています(出典: 厚生労働省「派遣事業開始以後の手続等」、日本公認会計士協会 専門業務実務指針4450)。AUPが使えるのは許可の有効期間の更新に係る申立てで、新規許可では監査証明によるとされる点が実務上の違いです。増資や借入返済などで月次の数字を整えてから進める流れになるため、要件割れが見えた時点で早めに独立した公認会計士へ相談してください。
小規模派遣元への暫定的な配慮措置(緩和要件)
1つの事業所のみを有し、常時雇用している派遣労働者が10人以下の中小企業事業主には、基準資産額1,000万円以上・現金預金800万円以上(負債比率は同じく7分の1以上)とする当分の間の配慮措置があります(出典: 厚生労働省「派遣事業開始以後の手続等」)。ただし、この措置は過去に配慮措置の適用を受けて許可・更新を受けてきた事業主等の申請に限るとされるため、適用可否は管轄労働局に事前確認してください。適用時には財産的基礎に関する誓約書(様式第16号)などの追加提出が求められます(出典: 兵庫労働局)。
更新審査は許可期間中の運営記録の答え合わせ
更新は申請書類だけの勝負ではなく、許可期間中に法定の報告・帳簿・情報公開を続けてきたかの確認でもあります。

審査で確認される運営記録: 事業報告書・派遣元管理台帳・教育訓練記録・マージン率公開
毎年6月30日が提出期限の労働者派遣事業報告書に未提出分があれば、更新申請の前に提出が必要です(出典: 厚生労働省「派遣事業開始以後の手続等」、兵庫労働局)。書き方は労働者派遣事業報告書の書き方と提出期限を参照してください。日常帳簿の中心である派遣元管理台帳の整備は派遣元管理台帳の書き方と保管ルール、派遣法第23条第5項に基づくマージン率等の情報公開は派遣会社のマージン率公開を自動化する方法で整理しています。
更新前点検チェックリスト×帳票対照表: 日常の台帳整備がそのまま更新書類になる
更新前に点検すべき運営記録と、日常業務での発生源を対照表にすると次のようになります。
| 更新前に点検する運営記録 | 日常業務での発生源 | 更新時に効く状態 |
|---|---|---|
| 事業報告書の提出履歴 | 台帳・契約・給与データの年次集計 | 毎年6月30日提出の控えが揃っている |
| 派遣元管理台帳 | 契約・勤怠と連動した台帳更新 | 記載18項目が保管期間分そろって出せる |
| 教育訓練・キャリア形成の記録 | 訓練実施のつど記録 | 計画書と実施記録が突合できる |
| マージン率等の情報公開 | 年度ごとの実績集計 | 最新年度分が公開済み |
| 資産要件の見込み | 月次の資金繰り・決算 | 満了前決算の3要件充足を事前試算済み |
出所: 派遣HUBの帳票設計に基づく自社整理(点検対象は労働者派遣法・同施行規則の記載事項・報告義務から抽出)。
この5点は台帳・勤怠・給与のデータが一元管理されていれば、日常運用の時点で提出できる状態になります。逆にExcelと紙の分散管理では、満了半年前からの点検が事実上の作り直しになります。
派遣HUBのようにスタッフ台帳・契約・勤怠・給与・帳票を一元管理していれば、更新前点検は「作る作業」ではなく「確認する作業」になります。
労働者派遣事業の許可更新に関するよくある質問
派遣の許可更新はいつまでに申請すればよいですか?
有効期間満了日の3ヶ月前までに、事業主管轄の都道府県労働局へ更新申請書と添付書類を提出する必要があります(出典: 厚生労働省「派遣事業開始以後の手続等」)。書類収集や社内点検の期間を考えると、満了6ヶ月前に準備を始めるのが現実的です。
許可更新の申請期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?
申請日の超過は認められないとされています(出典: 兵庫労働局「労働者派遣事業 許可有効期間更新申請必要書類等」)。気づいた時点で至急、管轄労働局に相談してください。更新を受けられないまま有効期間が満了すると許可は効力を失い、事業を続けるには新規許可の取り直しが必要になります。
更新時に資産要件を満たしていない場合、許可は失効しますか?
直近決算で要件を満たしていなくても、直ちに失効するわけではありません。中間・月次決算で3要件の充足を示し、公認会計士等の監査証明またはAUP実施結果報告書を添えて申し立てる方法があります(出典: 厚生労働省「派遣事業開始以後の手続等」)。小規模派遣元には配慮措置もありますが、適用条件があるため管轄労働局に確認してください。
合意された手続(AUP)は誰に依頼すればよいですか?
公認会計士または監査法人に依頼します(出典: 厚生労働省「派遣事業開始以後の手続等」、日本公認会計士協会 専門業務実務指針4450)。同実務指針は実施者に独立性の保持を求めているため、自社と顧問契約のある税理士・会計士には原則依頼できません。要件割れが見えた段階で、独立した公認会計士を探し始めるのが安全です。
更新後の許可の有効期間は何年ですか?
更新後の有効期間は、更新前の有効期間が満了する日の翌日から起算して5年です(出典: 労働者派遣法第10条第4項)。以後も5年ごとに更新を繰り返します。
まとめ: 許可更新は日常の帳簿整備で決まる
許可更新の実務は、(1)満了3ヶ月前の提出期限から逆算したスケジュール管理、(2)管轄労働局の案内に沿った書類準備、(3)資産要件の事前試算と割れた場合の月次決算+AUP対応、(4)許可期間中の運営記録の維持、の4点に集約されます。このうち書類準備は1〜2ヶ月で片付きますが、運営記録と資産要件は日常運用の積み重ねそのものです。台帳・勤怠・給与・帳票を一元管理し、いつ更新期が来ても出せる状態を保つことが、結果として最も負担の少ない更新対策になります。
出典: 労働者派遣法第7条・第10条・第23条第5項、厚生労働省「労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル-」「派遣事業開始以後の手続等」、大阪労働局「労働者派遣事業許可及び更新申請に必要な資産要件」、兵庫労働局「労働者派遣事業 許可有効期間更新申請必要書類等」、日本公認会計士協会 専門業務実務指針4450、e-Gov法令検索。
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