派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針とは|実務チェックリスト【2026年版】
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派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針とは|実務チェックリスト【2026年版】

2026年8月21日27分で読める

派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針(平成11年労働省告示第137号)とは、派遣会社が派遣労働者の保護のために実施すべき措置を、労働者派遣法の委任を受けて具体的に示した告示です。最終改正は令和4年厚生労働省告示第92号で、雇用の安定から情報公開まで、日々の運営で守るべき事項が横断的にまとまっています。

条文の逐条解説を読み込んでも「結局、自社は何を・どの記録で担保すればよいのか」がつかみにくいのが実務担当者の悩みです。本記事では、派遣元指針の講ずべき措置を1枚のチェックリストに束ね、各項目を記録・証跡でどう残すかまで中小派遣会社の目線で整理します。個別の義務の深掘りは公開済みの詳細記事へ内部リンクで振り、ここでは指針の読み方と自主点検の観点に絞ります。

結論:派遣元指針(告示137号)は派遣会社が講ずべき措置を定めた告示。法本体・指針・業務取扱要領の3点で組み立てる

派遣元指針は、労働者派遣法という法本体だけでは読み取りにくい「派遣元が具体的に何をすべきか」を補う告示です。実務は、法本体(義務の根拠)・指針(講ずべき措置の具体化)・厚生労働省『労働者派遣事業関係業務取扱要領』(行政の解釈・様式)の3点セットで組み立てるのが基本になります。

派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針とは(労働者派遣法本体との違い)

労働者派遣法本体が罰則を伴う義務や制度の骨格を定めるのに対し、指針は法の趣旨を実現するために派遣元が講ずべき措置を細かく示すものです。指針は告示であり、多くが「適切に対応すること」という行政指導の基準として機能します。

そのため、罰則が直接ないからと軽視すると、労働局の定期指導や許可更新の審査で「未対応」と評価されるリスクがあります。指針は「努力目標」ではなく、実務の到達点を示した点検基準として読むのが適切です。

講ずべき措置の全体像早見表(主要項目×根拠条文×対応の要点)

まず全体像を早見表で押さえます。派遣元が講ずべき措置は、雇用・待遇・個人情報・情報公開の各領域に広がっています。

講ずべき措置の柱主な根拠派遣元がやることの要点
雇用の安定派遣法第30条・指針雇用安定措置の対象者判定・履行・希望聴取の記録
教育訓練・キャリア形成第30条の2段階的・体系的な教育訓練とキャリア相談・実施記録
均衡待遇・同一労働同一賃金第30条の3・第30条の4均等均衡方式か労使協定方式かの選択と待遇決定・説明
就業条件の明示・待遇の説明第31条の2・第34条就業条件明示書・待遇説明の書面と記録
個人情報の保護第24条の3・第24条の4収集・保管・使用の範囲限定と適正管理
苦情の処理指針・第37条苦情申出先の周知と処理経過の記録
情報公開(マージン率等)第23条第5項事業所ごとのマージン率等をインターネット等で公表
事前特定への非協力第26条第6項派遣先の特定目的行為に協力しない(紹介予定派遣を除く)

出典: 労働者派遣法・派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針(告示137号)を基に自社整理。指針の主要項目を実務担当者が点検しやすい単位に束ね直したものです。

派遣元指針の講ずべき措置を雇用・待遇・個人情報・情報公開の領域別に一望する全体像早見表の図解
派遣元指針の講ずべき措置を雇用・待遇・個人情報・情報公開の領域別に一望する全体像早見表の図解

派遣元指針の講ずべき措置を実務チェックリストで押さえる

早見表の各柱を、点検項目・根拠・残すべき記録の3列に分解すると、日々の運営で何を証跡として残すべきかが明確になります。ここでは領域ごとに自主点検リストの形で整理します。

雇用・就業に関する措置(雇用安定措置・就業条件の明示・事前特定/不利益取扱いの禁止)

雇用と就業に関わる措置は、派遣労働者の地位に直結するため指導でも重点的に見られます。就業条件を明示し、対象者には雇用安定措置を履行し、派遣先の事前特定に協力しないことが柱です。

点検項目根拠残すべき記録・証跡
雇用安定措置の対象者判定と履行第30条対象者リスト・希望聴取記録・実施結果
就業条件の明示第34条就業条件明示書の控え
待遇に関する説明第31条の2雇入れ時・派遣時の説明書面と実施記録
特定目的行為への非協力第26条第6項事前面接・履歴書要求等を求められた際の対応記録
不利益取扱いの禁止指針説明を求めたこと等を理由に不利益に扱わない運用

事前特定の禁止は本来派遣先の努力義務ですが(第26条第6項)、派遣元も履歴書の事前送付や事前面接の設定に協力しない運用が求められます。紹介予定派遣は例外です。

雇用・就業に関する講ずべき措置(雇用安定措置・就業条件の明示・待遇説明・事前特定への非協力)の点検項目と残すべき記録を整理した図解
雇用・就業に関する講ずべき措置(雇用安定措置・就業条件の明示・待遇説明・事前特定への非協力)の点検項目と残すべき記録を整理した図解

待遇・キャリア・保険に関する措置(均衡待遇・教育訓練・労働社会保険の適用促進)

待遇とキャリアに関する措置は、許可の取得・更新で実施状況が問われる領域です。均衡待遇の方式選択、段階的・体系的な教育訓練、社会保険の適用促進をセットで点検します。

点検項目根拠残すべき記録・証跡
均衡待遇・同一労働同一賃金第30条の3・第30条の4方式選択・労使協定・待遇決定の記録
段階的・体系的な教育訓練第30条の2第1項訓練計画・個人別実施記録(時間・内容)
キャリアコンサルティング第30条の2第2項相談窓口の周知・相談実施記録
労働・社会保険の適用促進指針加入手続き・未加入者への対応記録

教育訓練とキャリアコンサルティングは指針の中でも実施記録の有無が問われやすい項目です。詳細は派遣スタッフの教育訓練・キャリア形成支援の義務と記録【2026年版】で、年8時間の目安や記録方法まで整理しています。

個人情報・苦情・情報公開に関する措置(個人情報の保護・適切な苦情処理・マージン率等の情報提供)

個人情報・苦情・情報公開は、対応の証跡が残りにくく「やっているが記録がない」に陥りやすい領域です。収集・保管・使用の範囲を限定し、苦情の処理経過とマージン率の公表を記録として残します。

点検項目根拠残すべき記録・証跡
個人情報の適正な収集・保管・使用第24条の3利用目的の特定・同意取得・アクセス範囲の管理
個人情報の適正管理措置第24条の4安全管理措置・秘密保持の体制
適切な苦情の処理指針・第37条苦情申出先の周知・苦情の内容と処理経過の記録
マージン率等の情報提供第23条第5項事業所ごとの実績をインターネット等で公表

マージン率は、事業所ごとの実績をインターネットの利用により公表することが原則とされています(出典: 労働者派遣法第23条第5項)。個人情報の取扱いは派遣会社の個人情報・マイナンバー管理【2026年版】、公表実務は派遣会社のマージン率公開を自動化【2026年版】で詳しく解説しています。

派遣元指針の講ずべき措置を雇用・就業/待遇・キャリア・保険/個人情報・苦情・情報公開の3領域に分けて点検項目・根拠・残すべき記録で整理したチェックリストの図解
派遣元指針の講ずべき措置を雇用・就業/待遇・キャリア・保険/個人情報・苦情・情報公開の3領域に分けて点検項目・根拠・残すべき記録で整理したチェックリストの図解

指針対応でつまずく記録・証跡の壁と自主点検の考え方

指針対応で最もつまずくのは「実施していないこと」ではなく「実施したのに記録が残っていないこと」です。労働局の指導や許可更新では、対応した事実を証跡で示せるかどうかが評価の分かれ目になります。

努力義務に見える項目こそ指導・許可更新で問われる(記録がないと未実施とみなされる)

指針の多くは「適切に対応すること」という表現で、一見すると努力目標のように読めます。しかし、キャリア形成支援や苦情処理の体制整備は労働者派遣事業の許可基準とも結びついており、更新審査で計画と実施記録の両方が確認されます。

口頭で対応しただけ、担当者の記憶に頼っているだけ、といった状態では、監査時に「対応した」と証明できません。実施と同時に日付・対応者・内容を記録に残す運用にしておくことが、指針対応の実質的な担保になります。

自主点検の基本は、早見表の各項目について「誰が・いつ・どの記録で証跡を残すか」を割り当てることです。記録の置き場所がExcel・紙・メールに散在している状態を解消し、1か所に集約するだけでも、更新前にまとめて出力できる体制に近づきます。

指針対応でつまずく記録・証跡の壁と、実施と同時に日付・対応者・内容を残す自主点検フローを示す図解
指針対応でつまずく記録・証跡の壁と、実施と同時に日付・対応者・内容を残す自主点検フローを示す図解

指針項目をシステムで担保する|派遣HUBの機能マッピング(自社データ)

指針の各項目を「どの機能で記録・証跡が残せるか」に対応づけると、システム化の効果が具体的になります。次の表は、派遣HUBの実装機能を派遣元指針の主要項目にマッピングした自社整理です。

指針の主要項目×記録・証跡が残せるかの対応表(自社見解)

指針の主要項目派遣HUBで残せる記録・証跡対応度(自社見解)
雇用安定措置対象者の判定・希望聴取記録・派遣元管理台帳への反映記録・証跡が残せる
教育訓練・キャリア相談個人別の実施記録・年間累計時間記録・証跡が残せる
均衡待遇・労使協定方式待遇決定・協定対象区分の記録一部(協定本体は別管理)
就業条件明示・待遇説明明示書・説明書面の作成と発行履歴記録・証跡が残せる
個人情報・マイナンバーアクセス権限の設定と操作ログ記録・証跡が残せる
苦情の処理苦情の受付・処理経過の記録記録・証跡が残せる
マージン率の情報公開実績の集計と公開ページの生成記録・証跡が残せる

出所: 派遣HUBの実装機能仕様を基にした自社整理。対応度は指針項目ごとに記録・証跡が残せるかを自社見解で付したものです。

派遣HUBは、派遣元管理台帳の出力・教育訓練やキャリア相談の記録・個人情報とマイナンバーの権限管理・マージン率公開ページの自動生成・全操作の監査ログを備えた派遣管理SaaSです。指針の各項目を同じシステムで記録に残せるため、散在しがちな証跡を1か所に集約できます。

派遣HUBは、従業員20〜100名規模(主力は20〜40名)の派遣元事業者を主な対象としています。月額は1名あたり2,980円(税込)から、初期費用は30,000円(税込)で、専任のコンプライアンス担当を置きにくい中小規模でも導入しやすい価格帯です。均衡待遇の記録運用については派遣の同一労働同一賃金(労使協定方式)対応ガイド【2026年版】もあわせて整備すると整合がとりやすくなります。

派遣元指針の主要項目と派遣HUBの機能を対応づけ、記録・証跡が残せるかを可視化した機能マッピング表の図解
派遣元指針の主要項目と派遣HUBの機能を対応づけ、記録・証跡が残せるかを可視化した機能マッピング表の図解

よくある質問

派遣元指針と労働者派遣法本体は何が違うのですか

労働者派遣法本体は罰則を伴う義務や制度の骨格を定め、派遣元指針(告示137号)はその趣旨を実現するために派遣元が講ずべき措置を具体的に示した告示です。指針の多くは行政指導の基準として機能し、労働局の指導や許可更新の審査で対応状況が確認されます(出典: 派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針)。

講ずべき措置は努力義務ですか、守らないと罰則やペナルティはありますか

指針は「適切に対応すること」という表現が多く、直接の罰則がない項目もあります。ただし、キャリア形成支援や苦情処理の体制整備は許可基準と結びついており、対応や記録が不十分だと定期指導の対象となり、改善が見られない場合は許可の更新にも影響します(出典: 派遣元指針・厚生労働省『労働者派遣事業関係業務取扱要領』)。

派遣元指針の最新の改正はいつで、何が変わりましたか

派遣元指針は平成11年労働省告示第137号として定められ、直近の改正は令和4年厚生労働省告示第92号です(出典: 派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針)。近年は、同一労働同一賃金(第30条の3・第30条の4)や、マージン率をインターネットで公表することを原則とする情報提供(第23条第5項)などが実務に反映されてきました。

指針への対応を自主点検するには、どの記録・証跡を残せばよいですか

各措置について「誰が・いつ・どの記録で残すか」を割り当て、実施と同時に証跡を残すことが基本です。雇用安定措置の希望聴取記録、教育訓練の個人別実施記録、苦情の処理経過、マージン率の公表実績などを、派遣元管理台帳(第37条)と結びつけて保管します(出典: 労働者派遣法第37条・派遣元指針)。

派遣元指針の対応状況は労働者派遣事業の許可更新に影響しますか

影響します。教育訓練・キャリア形成支援や個人情報の適正管理の体制は許可基準に含まれ、更新審査で計画と実施記録が確認されます。実施していても記録が残っていなければ「未実施」と評価されかねないため、証跡の整備が更新を円滑に進める備えになります(出典: 厚生労働省『労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル-』)。

まとめ:指針はチェックリストと記録運用で回す

派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針(告示137号)は、雇用の安定・教育訓練・均衡待遇・個人情報・苦情処理・情報公開まで、派遣元が日々守るべき措置を横断的に定めた告示です。条文を逐条で追うより、主要項目を早見表とチェックリストに束ね、各項目を「どの記録で証跡を残すか」まで割り当てるのが実務的な向き合い方です。

指針対応の成否は、実施の有無ではなく記録の有無で決まります。実施と同時に証跡が積み上がる運用にしておけば、労働局の指導や許可更新で慌てて記録を作り直す必要がなくなります。散在した記録を1か所に集約し、指針項目を仕組みで担保することが、安定した事業運営への近道です。

(出典: 派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針(平成11年労働省告示第137号・最終改正 令和4年厚生労働省告示第92号)、e-Gov『労働者派遣法』第23条第5項・第24条の3・第24条の4・第26条第6項・第30条・第30条の2・第30条の3・第30条の4・第31条の2・第34条・第37条、厚生労働省『労働者派遣事業関係業務取扱要領』『労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル-』)


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