
派遣会社の個人情報・マイナンバー管理|安全管理措置と効率化【2026年版】
派遣会社は、登録スタッフの履歴書・職歴・連絡先・口座情報、そしてマイナンバーまで、一般企業とは比較にならない量の個人情報を扱います。「とりあえずExcelとファイルキャビネットで管理しているが、これで漏えいしたら責任を問われるのでは」と不安を抱えていませんか。
派遣業ではスタッフの入れ替わりが激しく、扱う個人情報の件数が常に増減します。そのため、漏えいや紛失のリスクは一般企業より構造的に高くなります。本記事では、派遣会社が守るべき安全管理措置を「組織的・人的・物理的・技術的」の4区分で整理し、紙・Excel運用に潜むリスクと、一元管理で対策する考え方を解説します。
結論:派遣会社は「4区分の安全管理措置」をシステムで土台化すべき
派遣会社が個人情報・マイナンバーを安全に扱うには、個人情報保護委員会が定める安全管理措置の4区分(組織的・人的・物理的・技術的)を満たす必要があります(出典: 個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」令和6年5月一部改正)。紙やExcelでこれを人力で維持するのは、件数が多い派遣会社ほど困難です。
| 区分 | 求められる対応 | 派遣会社で起きやすい課題 |
|---|---|---|
| 組織的 | 取扱責任者の明確化・記録の保存 | 担当者ごとに管理がバラバラ |
| 人的 | 従業者の教育・監督 | コーディネーターが私物PCに保存 |
| 物理的 | 施錠保管・持出制限 | 履歴書の紙が机に放置される |
| 技術的 | アクセス制御・ログ管理 | 共有Excelに誰でもアクセス可 |

ポイントは、4区分を「個人の注意」ではなく「仕組み」で担保することです。アクセス権限・操作ログ・保存期間の管理をシステムに任せれば、人の入れ替わりが激しい派遣会社でも安全管理措置の水準を一定に保てます。
派遣会社が扱う個人情報・マイナンバーの範囲は広い
派遣会社の個人情報管理が難しいのは、扱う情報の「種類」と「件数」が多いためです。一般企業が自社の従業員分だけを管理するのに対し、派遣会社は登録スタッフ全員分を継続的に扱います。
一般企業より格段に多い保有件数
派遣会社は、稼働中のスタッフだけでなく、登録のみで未稼働のスタッフ、過去に在籍したスタッフの情報も保持します。50〜200名規模の派遣会社では、登録ベースで数百〜数千件の個人情報を抱えることも珍しくありません。件数が多いほど、1件ごとの管理精度を人力で保つのは難しくなります。
マイナンバーは利用目的が法律で限定される
マイナンバー(特定個人情報)は、給与の源泉徴収票や社会保険の手続きなど、法令で定められた事務でしか利用できません(出典: 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律=マイナンバー法)。営業目的の流用や、目的外でのコピー・保管は禁止されています。

保存期間を過ぎた情報は速やかに廃棄する義務
マイナンバーは、関連書類の法定保存期間(税法・労働保険諸法令などで最長7年)が経過し、事務で使う必要がなくなったら、できるだけ速やかに廃棄・削除しなければなりません(出典: 個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」)。退職者の情報を漫然と残し続けることは、それ自体がリスクになります。なお、派遣特有の書類である派遣元管理台帳は労働者派遣法第37条で3年間の保存が義務付けられており、書類ごとに保存期間が異なる点にも注意が必要です。
求められる安全管理措置は4区分で整理する
個人情報保護委員会のガイドラインは、マイナンバーを含む特定個人情報の安全管理措置を「組織的・人的・物理的・技術的」の4区分に分けています(出典: 個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」)。派遣会社の実務に当てはめると、対応すべき内容は次のように整理できます。
4区分と派遣会社の実務対応(独自整理)
下表は、ガイドラインの4区分を派遣会社の現場業務に落とし込んだ対応表です(前提: 個人情報保護委員会ガイドラインの区分を当社が派遣業務向けに整理した一覧)。
| 区分 | ガイドラインの要点 | 派遣会社の具体対応例 |
|---|---|---|
| 組織的 | 責任者の設置・取扱記録の保存 | スタッフ情報の閲覧・編集履歴を残す |
| 人的 | 従業者教育・秘密保持 | コーディネーター入社時に研修・誓約 |
| 物理的 | 区域管理・持出制限・廃棄 | 紙の履歴書を施錠保管・裁断廃棄 |
| 技術的 | アクセス制御・ログ・暗号化 | 担当案件のスタッフのみ閲覧可に制限 |

組織的・人的措置は「記録」と「教育」が要
組織的措置の中心は、誰がいつどの情報を扱ったかを記録に残すことです。人的措置では、スタッフ情報に触れるコーディネーターや事務担当への教育・監督が求められます。派遣会社は中途採用が多く担当者の入れ替わりが頻繁なため、入社時の教育と権限付与のルール化が特に重要になります。
物理的・技術的措置は「持ち出し」と「アクセス制限」が要
物理的措置では、紙書類の施錠保管・持出制限・確実な廃棄が必要です。技術的措置では、アクセス権限の限定と操作ログの記録が中心になります。共有フォルダの中で誰でも全スタッフの情報を見られる状態は、技術的措置として不十分と言えます。
紙・Excel運用のリスクと一元管理での対策
派遣会社で個人情報の漏えい・紛失が起きる典型パターンは、紙とExcelの分散管理に集約されます。安全管理措置の4区分を満たすうえで、この運用形態は構造的な弱点を抱えています。
分散管理が生む3つのリスク
紙・Excel運用には、次のようなリスクが潜みます。いずれも「悪意」ではなく「仕組みの不在」から生じる点が特徴です。
| リスク | 起きる原因 | 想定される影響 |
|---|---|---|
| アクセス制御不能 | 共有Excelに権限設定がない | 担当外スタッフの情報まで閲覧可能 |
| 操作履歴が残らない | 誰が編集したか追えない | 漏えい時に原因特定ができない |
| 廃棄漏れ | 保存期間の管理が手作業 | 退職者情報が残り続ける |

入力をデータ化し、アクセスとログを仕組みにする
対策の方向性は、情報を一元的にデータ化し、アクセス制御と操作ログを「システムの標準機能」で担保することです。たとえば履歴書をアップロードして自動でデータ化すれば、紙の現物を出社者全員が触れる状態を減らせます。スタッフ情報を一つのデータベースに集約すれば、担当案件に応じたアクセス制限や閲覧ログの記録も仕組みとして実現できます。
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スタッフ本人とのやり取りも安全な経路で
マイナンバーの収集や本人確認は、安全な経路で行うことが重要です。スタッフ専用のマイページ・ポータルを使えば、紙やメール添付に頼らず、本人が直接情報を登録・更新できます。やり取りの経路を一本化することは、物理的・技術的措置の両面で漏えいリスクを下げる効果があります。

よくある質問
派遣会社のマイナンバー管理は一般企業と何が違いますか?
扱う件数の多さと入れ替わりの激しさが最大の違いです。登録スタッフ全員分のマイナンバーを継続的に管理し、退職者分は法定保存期間の経過後に廃棄が必要です(出典: 個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」)。件数が多いほど人力管理は破綻しやすくなります。
マイナンバーはいつまで保管すればよいですか?
マイナンバーそのものに固定の期間はなく、記載書類ごとの法定保存期間に従います。税法・労働保険諸法令で最長7年とされ、事務で使う必要がなくなったら速やかに廃棄・削除します(出典: 個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」)。
安全管理措置の4区分とは何ですか?
組織的・人的・物理的・技術的の4つです。責任者設置と記録、従業者教育、施錠保管・廃棄、アクセス制御とログ管理が柱になります(出典: 個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」)。派遣会社は件数が多いため、これらを仕組みで担保することが現実的です。
Excelでのマイナンバー管理は違反になりますか?
Excel自体が直ちに違反ではありませんが、アクセス制御や操作ログがない共有Excelは技術的安全管理措置として不十分とされる可能性があります(出典: 個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」)。権限管理とログ記録を仕組みで備えることが望まれます。
マイナンバーは営業活動に使ってもよいですか?
使えません。マイナンバーは法令で定められた事務でのみ利用が認められ、目的外利用は禁止されています(出典: マイナンバー法)。社会保険・源泉徴収など、法定の事務以外で参照・流用してはいけません。
まとめ:個人情報管理は「人の注意」から「仕組み」へ
派遣会社は、登録スタッフ全員分の個人情報とマイナンバーを継続的に扱うため、漏えいリスクが一般企業より構造的に高くなります。守るべきは組織的・人的・物理的・技術的の4区分の安全管理措置であり、件数が多い派遣会社ほど、これを人の注意だけで維持するのは困難です。
紙とExcelの分散管理は、アクセス制御・操作履歴・廃棄管理のいずれにも弱点を抱えます。入力をデータ化し、スタッフ情報を一元管理して、アクセス権限とログを仕組みで担保する。この移行こそが、安全管理措置を安定して満たし続ける現実的な道筋です。
出典: 個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」(令和6年5月一部改正)、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)、労働者派遣法第37条、e-Gov法令検索
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