派遣会社の労働保険年度更新|賃金集計と申告の実務【2026年版】
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派遣会社の労働保険年度更新|賃金集計と申告の実務【2026年版】

2026年9月10日20分で読める

派遣元の労働保険年度更新は、勤怠と給与をスタッフ単位で突合して対象賃金を確定し、確定保険料と次年度の概算保険料を申告・納付する年次作業です。派遣先ごとに勤怠の受領経路が異なると、同じスタッフのデータが重複したり、給与確定後の修正が集計版へ反映されなかったりします。

年度更新では、勤怠時間を直接保険料へ置き換えるのではなく、実際に支払った給与データを集計の基礎にし、スタッフ・雇用期間・勤怠・支給項目を照合します。本記事では、賃金確定、確定・概算保険料の計算基礎、申告・納付、差額処理、控え管理までを派遣元の年次工程として整理します。

労働保険年度更新の定義と工程早見表

労働保険年度更新の確定保険料と概算保険料を整理した工程早見表
労働保険年度更新の確定保険料と概算保険料を整理した工程早見表

確定保険料と概算保険料の関係

労働保険徴収法第19条は、前の保険年度に使用したすべての労働者に係る賃金総額を基に、確定保険料を算定する仕組みを定めています。一方、第15条の概算保険料は、新しい保険年度に使用する労働者の賃金総額の見込額を基礎にします。省令で定める場合は直前の保険年度の賃金総額を使うため、概算を必ず独自予測で作るとは限りません。

通常の継続事業では、概算保険料の納付と確定保険料の申告・不足額の納付について、6月1日から40日以内という期間が条文に置かれています。年度途中の成立・消滅や有期事業には別の規定があるため、本記事では扱いません。実際の申告日は、その年度の最新案内で確認します。

派遣元の年次工程早見表

派遣元の年度更新は、給与確定版を集める準備工程と、法令・最新資料に基づく申告工程を分けます。対象者、対象賃金、保険料率、申告様式を過去年度から流用せず、各確認元と確認日を集計版へ記録します。

工程対象期間入力データ照合キー成果物担当証跡
対象者の確定前保険年度スタッフ・雇用期間スタッフID対象者一覧給与・労務担当抽出条件・確定日
支払賃金の集計前保険年度給与確定版スタッフID・支払月賃金集計版給与担当給与版・集計ログ
勤怠との突合前保険年度複数経路の勤怠スタッフID・対象月差異一覧勤怠・給与担当修正理由・確認者
確定の基礎作成前保険年度対象賃金・最新率集計版・率の参照元確定計算基礎労務担当検算記録
概算の基礎作成新保険年度賃金総額の見込額等算定条件・参照年度概算計算基礎労務担当条件版・確認日
申告・納付年度更新期間確定・概算の基礎申告版申告・納付記録申告担当提出日・納付日・控え
差額処理申告後既納額・確定額申告版・処理結果不足納付・充当等の記録経理・労務担当処理日・通知・控え

この早見表は、勤怠経路から給与確定、対象賃金、確定・概算の計算基礎、申告、差額処理までを分解した独自編集フレームです。対象範囲や保険料を自動判定するものではなく、派遣元が最新の公的資料と自社データを照合するために使います。

勤怠・給与から対象賃金を確定する

派遣スタッフの勤怠経路と給与確定版をスタッフ単位で突合する図
派遣スタッフの勤怠経路と給与確定版をスタッフ単位で突合する図

スタッフと給与データの対象範囲

徴収法第19条は、保険年度に使用したすべての労働者に係る賃金総額を計算基礎としています。派遣会社だからといって派遣スタッフだけを抽出して完了とせず、対象となる労働者と支払賃金の範囲を最新の申告案内で確認します。派遣先への請求額や派遣料金は、スタッフへ支払った賃金と混同しません。

給与データから、スタッフID、雇用期間、支払月、支給項目、確定版を対応させます。対象となる手当を一律に決めず、最新の公的資料で判定した結果を集計条件へ残します。給与確定までの処理は派遣会社の給与計算を自動化する方法|社保・所得税控除の手作業を減らす【2026年版】へ分け、年度更新では確定済みデータを受け取ります。

複数勤怠経路を給与と突合する方法

派遣スタッフの勤怠は、派遣先指定システム、CSV、タイムシートなど複数経路から届くことがあります。経路ごとの合計をそのまま足すと、再送ファイルや修正版を二重計上するおそれがあります。スタッフID、対象月、派遣先、勤怠版をキーに重複を外し、給与確定版との対応を確認します。

勤怠の実働、残業、深夜、休日などは、給与計算が参照した版と一致するかを確かめる照合材料です。勤怠時間だけで年度更新の賃金総額を作らず、差異があれば給与側の修正履歴へ戻ります。派遣の労働時間・36協定の管理|派遣元と派遣先の責任分担【2026年版】とは目的を分け、年度更新では支払給与との突合結果を残します。

年度更新を完了する3ステップ

対象賃金の確定から申告納付と差額処理までの年度更新3ステップ
対象賃金の確定から申告納付と差額処理までの年度更新3ステップ

ステップ1 勤怠と給与から対象賃金を確定する

最初に、対象年度のスタッフ一覧と給与確定版を固定します。退職者や年度途中の入社者も雇用期間と支払月を確認し、集計対象から機械的に外しません。給与の取消し・再計算がある場合は、旧版を残したうえで年度更新に採用する版と確定日を明示します。

次に、スタッフIDと支払月を軸に、勤怠、給与、雇用期間、支給項目を突合します。未提出勤怠や差し戻し中のデータが給与へどう反映されたかを確認し、未解消の差異を賃金総額へ含めたまま進めません。対象・対象外の判断根拠と確認担当者を集計版へ記録します。

ステップ2 確定保険料と概算保険料の基礎を作る

確定保険料では、前保険年度の対象賃金総額と、その年度に適用する保険料率の参照元を対応させます。概算保険料では、新保険年度の賃金総額の見込額、または省令所定の場合に使う直前年度の賃金総額を別の計算基礎として保持します。確定と概算の年度・賃金・率を同じ欄へ上書きしません。

具体的な保険料率は、申告時点の最新の公的資料で確認します。過去の計算表の数値を固定値として転記しません。計算基礎、率の資料名・確認日、計算結果、検算者を記録し、どの条件版で申告書を作ったかをたどれるようにします。

ステップ3 申告・納付と差額の処理記録を残す

確定・概算の計算基礎を検算したら、最新の申告案内と様式へ反映し、申告・納付を行います。通常の継続事業は6月1日から40日以内という条文上の期間を確認しつつ、個別年度の日程や手続方法は最新案内で確定します。提出日、納付日、申告版、担当者、控えの参照先を記録します。

既に納めた概算保険料が確定保険料に足りない場合は、不足額を確定申告とともに納付します。既納額が確定額を超える場合は、徴収法第19条第6項に基づき、超過額が次年度の労働保険料等へ充当されるか、還付されます。処理結果と日付を申告版へ関連付け、給与データの修正とは分けて管理します。

表計算と給与連動管理を比較する

勤怠経路別の表計算とスタッフIDでつなぐ給与連動管理の比較
勤怠経路別の表計算とスタッフIDでつなぐ給与連動管理の比較

勤怠経路別の集計で起きる重複・漏れ

派遣先や勤怠経路ごとにExcelを作ると、同じスタッフの修正版を別ファイルへ重ねたり、退職者の最終給与を別担当が管理したりして、集計版の根拠が分かれます。勤怠合計と給与支払額の差異を見つけても、給与のどの版へ戻るべきか、確定・概算のどちらへ影響するかを追跡できません。

比較項目勤怠経路別の表計算スタッフ・給与連動管理
対象者ファイルごとに抽出スタッフID・雇用期間で統合
勤怠再送・修正版が混在対象月・版で重複を確認
給与手入力で再集計給与確定版を参照
対象賃金判断根拠が列外に残る条件版・確認者を記録
確定・概算同じシートで上書き年度と計算基礎を分離
申告・差額控えと集計が別管理申告版・処理結果を関連付け

給与連動管理は、対象賃金や保険料率をシステムが法的に判定する仕組みではありません。人が最新資料で確認した対象範囲と率を、給与確定版、集計版、申告控えへ関連付ける運用です。

派遣HUBの勤怠・スタッフ・給与項目へ対応させる方法

派遣HUBでは、スタッフ、勤怠、給与を一元管理し、勤怠CSVの取込み、残業・深夜・休日出勤・総実働の月次集計、給与の一括計算に対応できます。カスタム項目に年度更新の集計版、対象判定、率の参照元、申告日、納付日、差額処理、控えの参照先を持たせ、監査ログで変更者と変更時点を確認すれば、賃金確定から申告後までを追跡できます。

これは年度更新の対象判断、最新率の取得、申告・納付を自動で完了する機能ではありません。派遣会社の基幹業務(勤怠・給与・請求)を効率化する完全ガイド【2026年版】の一元データを年次集計へつなぐ管理例です。派遣の安全衛生管理と労災対応|派遣元・派遣先の責任分担【2026年版】とも手続を分け、労災対応記録を年度更新の賃金集計で代用しません。

よくある質問

派遣会社の労働保険年度更新の内容と賃金データと対象範囲に関する質問
派遣会社の労働保険年度更新の内容と賃金データと対象範囲に関する質問

労働保険の年度更新では何を行いますか?

前年度に実際に支払った賃金を基に確定保険料を精算し、次年度の概算保険料を申告・納付します。派遣元は最新の申告案内、様式、保険料率を確認して作成します。

派遣会社はどのデータから賃金を集計しますか?

労働保険の対象となる支払賃金を給与データから抽出し、スタッフ、雇用期間、勤怠、支給項目と突合します。対象範囲と保険料率は執筆時点の最新の公的資料で確認します。

労働保険の成立や入退社手続もこの記事で扱いますか?

扱いません。本記事は派遣元の年度更新における賃金集計、申告、差額処理、控え管理に限定し、成立届や入退社に伴う取得・喪失手続は対象外です。

まとめ

派遣元の年度更新では、給与確定版から対象賃金を集計し、スタッフID、雇用期間、勤怠、支給項目と突合します。前年度の実績に基づく確定保険料と、新保険年度の賃金見込額等に基づく概算保険料の計算基礎を分け、最新の対象範囲・保険料率・様式を確認して申告・納付します。

不足額は確定申告とともに納付し、超過額の充当・還付結果も申告版へ関連付けます。派遣会社の法定三帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)と派遣元管理台帳の関係【2026年版】と役割を分けながら、給与版、年度更新集計版、申告・納付日、差額処理、控えを一つの年次履歴として残してください。

出典: e-Gov法令検索「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」(第15条、第19条)。


年度更新の賃金集計を整理

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