派遣会社の就業規則|人数判定・作成・周知の実務【2026年版】
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派遣会社の就業規則|人数判定・作成・周知の実務【2026年版】

2026年9月13日21分で読める

派遣元は自社が雇用する派遣スタッフを含めて事業場ごとの就業規則作成義務を判定し、適用対象を明確にした規程を意見聴取・届出・周知・版管理します。派遣スタッフが派遣先で働いていても、派遣先が雇用する労働者として派遣先の人数へ加えるのではなく、雇用主である派遣元側で所属と労務管理の実態を整理します。

就業規則のPDFを作成して届出するだけでは、どのスタッフにどの版が適用され、いつ周知されたかを追跡できません。本記事では、常時10人以上の判定、共通規程・別規程の適用範囲、過半数労働組合等からの意見聴取、届出、周知、改定履歴までを派遣元の一続きの工程として整理します。

派遣会社の就業規則と人数判定早見表

派遣元と派遣先の雇用関係を分ける就業規則人数判定早見表
派遣元と派遣先の雇用関係を分ける就業規則人数判定早見表

派遣元・派遣先で異なる人数の捉え方

労働基準法第89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、就業規則の作成と行政官庁への届出を義務づけています。変更した場合も同様です。この人数は企業グループ全体や派遣先の現場人数を一括して見るのではなく、派遣元の事業場ごとに、そこで使用する労働者の範囲を整理して判定します。

派遣先の事業場では、派遣スタッフは派遣先が雇用する労働者として数えません。派遣元では自社雇用の労働者として、どの事業場に所属し、どこで採用・勤怠・給与・指揮命令以外の労務管理を行うかを確認します。「常時」の具体的な境界や所属判断が難しい場合は、独自の算定式で決めず所轄の労働基準監督署へ確認します。

作成義務を事業場単位で確認する早見表

人数判定と規程の適用判定は別々に記録します。10人未満で第89条の作成義務の基準に達しない事業場でも、既に規程がある場合の適用範囲や労働条件との整合を確認し、単に「対象外」として管理から外しません。

判定場面雇用主事業場対象者人数確認適用規程不明時の確認先
派遣元の義務判定派遣元派遣元の事業場自社雇用の労働者常時10人以上か作成・届出対象を確認所轄労働基準監督署
派遣スタッフの所属派遣元労務管理の実態を確認派遣スタッフ所属先で整理共通・別規程を確認最新の公的資料・所轄
派遣先の人数判定派遣先派遣先の事業場派遣先が雇用する労働者派遣スタッフを自社雇用として数えない派遣先側で判定派遣先の所轄
新規作成派遣元対象事業場規程の適用対象者義務基準を確認初版と対象範囲を確定最新の公的資料・所轄
規程変更派遣元対象事業場変更が及ぶ労働者対象者を再確認旧版・改定版を区別最新の公的資料・所轄
意見聴取・届出派遣元当該事業場過半数労働組合等当該事業場で確認意見書と届出版を対応最新の届出案内・所轄
周知・適用派遣元対象事業場・作業場適用対象の労働者対象者を確認周知版と適用版を一致最新の公的資料・所轄

この早見表は、派遣元・派遣先、雇用関係、事業場、人数判定、適用規程を対応させた独自編集フレームです。作成義務や所属事業場を自動判定するものではなく、派遣元が事実関係と公的資料を確認するために使います。

派遣スタッフへ適用する規程を設計する

派遣スタッフに適用する共通規程と別規程の対象範囲設計図
派遣スタッフに適用する共通規程と別規程の対象範囲設計図

共通規程と別規程の対象範囲

労基法第89条は、始業・終業、休憩、休日・休暇、賃金、退職などの事項を就業規則へ定めるよう求め、定めを置く場合に記載する事項も列挙しています。ただし、派遣スタッフ用の就業規則を必ず別冊にするとは定めていません。全労働者に共通する規程へ含めるか、雇用区分に応じた別規程を設けるかは、適用対象と実態が明確になるよう設計します。

共通規程を使う場合は、派遣スタッフへ適用しない条項や別規程を参照する条項を曖昧にしません。別規程を設ける場合も、正社員向け規程との優先関係、対象となる雇用区分、適用開始日を対応させます。派遣会社(派遣元)の雇止め・契約更新実務|予告30日・理由証明書・更新上限明示【2026年版】で扱う契約更新の実務は、適用規程と矛盾しないかを確認します。

労働条件・派遣就業との整合確認

規程版を作るときは、雇用契約、労働条件通知、給与運用、休暇管理、派遣就業の条件と突合します。労働時間や36協定の分担は派遣の労働時間・36協定の管理|派遣元と派遣先の責任分担【2026年版】、社会保険と有給休暇は派遣スタッフの社会保険・有給休暇管理を自動化する方法|年5日取得義務への対応【2026年版】へ分けます。

賃金の受取方法に関する社内整備では、派遣会社の給与前払い導入ガイド|労基法24・25・17条と社内整備【2026年版】給与デジタル払いを派遣会社が導入する手順|同意・履歴管理【2026年版】の論点を確認します。リンク先の制度を就業規則へ必ず記載すると一律に決めず、自社制度の有無、適用対象、最新の公的資料に基づいて必要な改定範囲を判断します。

就業規則を作成・改定する3ステップ

事業場と対象者の整理から意見聴取と届出と周知までの3ステップ
事業場と対象者の整理から意見聴取と届出と周知までの3ステップ

ステップ1 事業場と常時使用する労働者の範囲を整理する

最初に、派遣元の本社・支店・営業所など、労務管理を行う単位を洗い出します。各事業場について、直接雇用する内勤者と派遣スタッフの所属、採用、勤怠・給与、労務管理の担当を整理し、判定時点と確認者を記録します。派遣先の現場人数を派遣元の一事業場へ機械的に置き換えません。

そのうえで、事業場ごとに常時使用する労働者が10人以上かを確認します。異動、採用、退職で人数や所属実態が変わったときは、旧判定を上書きせず再判定日と根拠を追加します。複数事業場にまたがるように見えるスタッフや境界事例は、事実関係を整理して所轄へ確認します。

ステップ2 派遣スタッフへ適用する規程を作成・変更する

対象事業場と労働者を確定したら、第89条の記載事項を最新の条文・公的資料で確認し、初版または改定版を作成します。共通規程か別規程かを決め、規程名、対象雇用区分、対象事業場、適用開始日、関連規程を版情報へ持たせます。改正施行日や届出期限は最新の公的資料で確認し、推測値を使いません。

改定時は、変更条項、変更理由、影響するスタッフ、労働条件や運用の変更有無を一覧にします。旧版を消さず、変更前後の差分と確認担当者を残します。規程を作成する担当、実際の給与・勤怠・休暇を運用する担当、届出を行う担当で内容を突合し、規程と実態の不一致を解消します。

ステップ3 意見聴取・届出・周知と版履歴を残す

労基法第90条により、作成・変更する事業場に過半数労働組合があればその組合、なければ労働者の過半数を代表する者の意見を聴きます。これは同意や承認の取得ではありません。届出時には意見を記した書面を添付し、規程版、意見聴取日、意見書、届出日、届出控えを対応させます。

労働者派遣法第30条の6は、派遣労働者に係る事項について就業規則を作成・変更するとき、あらかじめ当該事業所で雇用する派遣労働者の過半数を代表すると認められる者の意見を聴くよう努めることを派遣元に求めています。労基法第90条の法定意見聴取とは対象と法的性質を分け、実施記録も区別して残します。

届出後は、第106条に基づく周知を別工程として行います。条文は、各作業場の見やすい場所への掲示・備付け、書面交付、その他省令所定の方法を挙げています。特定の電子方法だけで要件を満たすと断定せず、最新資料で選んだ周知方法、対象者、周知日、適用版を記録します。

ファイル保管と適用版管理を比較する

就業規則PDFの単独保管と対象者をつなぐ適用版管理の比較
就業規則PDFの単独保管と対象者をつなぐ適用版管理の比較

規程PDFだけでは対象者が分からない問題

共有フォルダに規程PDFだけを置くと、どの事業場と雇用区分へ適用する版か、意見書や届出控えと一致するか、誰へ周知したかをファイル名から判断することになります。改定版を同名で上書きすると、旧版の適用期間や、改定前に入社したスタッフへどの版を周知したかも追跡できません。

比較項目規程PDFの単独保管対象者・適用版の連動管理
事業場ファイル名で推測対象事業場を明示
対象者雇用区分が不明スタッフ・雇用区分を対応
規程版同名上書き旧版・改定版・適用日を保持
意見聴取意見書が別フォルダ意見日・意見書を版へ関連付け
届出控えを個別管理届出日・控えを版へ関連付け
周知実施状況が不明対象者・周知日・方法を記録

適用版管理は、法定の版番号制度や自動届出を意味しません。人が確認した事業場、対象者、規程、意見聴取、届出、周知の関係を再現するための社内管理方法です。

派遣HUBのスタッフ・事業場・規程版へ対応させる方法

派遣HUBでは、スタッフ情報と案件・契約を関連付け、カスタム項目と監査ログで追加項目や変更履歴を管理できます。カスタム項目に所属事業場、雇用区分、適用規程、版、適用日、意見聴取日、届出日、周知日、意見書・控えの参照先を持たせれば、スタッフごとの適用版と改定履歴を追跡できます。

これは常時10人以上の判定、規程作成、意見聴取、届出、周知を自動で完了する機能ではありません。担当者が法令と実態を確認した結果を関連付ける管理例です。派遣会社の法定三帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)と派遣元管理台帳の関係【2026年版】とは書類の目的を分け、各帳簿を就業規則や周知記録の代用にしません。

よくある質問

派遣スタッフの就業規則人数算定と別規程と意見聴取に関する質問
派遣スタッフの就業規則人数算定と別規程と意見聴取に関する質問

派遣スタッフは就業規則作成義務の人数に含まれますか?

派遣先の事業場では、派遣スタッフは派遣先が雇用する労働者として数えません。派遣元では自社が雇用する労働者として、事業場への所属や労務管理の実態を整理して判断し、境界が不明な場合は所轄の労働基準監督署へ確認します。

派遣スタッフ用の就業規則は必ず別に作りますか?

必ず別規程にするとは限りません。派遣スタッフへ適用する労働条件と規律が明確になり、実態と一致するよう、共通規程または別規程の対象範囲を定めます。具体的な設計は最新の公的資料と所轄で確認します。

就業規則を作成・変更するとき誰の意見を聴きますか?

労働基準法第90条により、その事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴きます。

まとめ

派遣元は、事業場ごとに自社雇用する労働者の範囲を整理し、常時10人以上かを判定します。派遣スタッフは派遣先雇用の労働者として派遣先の人数へ加えず、派遣元で所属と労務管理の実態を確認します。共通規程か別規程かは一律に決めず、適用対象と労働条件を明確にします。

作成・変更時は過半数労働組合等の意見を聴き、意見書を添えて届出し、対象労働者へ周知します。意見聴取を同意取得に置き換えず、届出と周知も分けて記録してください。事業場、対象スタッフ、規程版、意見書、届出日、周知日を関連付け、旧版を残したまま適用履歴を更新します。

出典: e-Gov法令検索「労働基準法」(第89条、第90条、第106条)、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(第30条の6)。


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